なぜ、子どもたちの未来を支えるはずの学校現場から、これほど多くの仲間が心身をすり減らして去っていくのでしょうか。
先日報じられた2024年度の文部科学省の調査によると、精神疾患を理由に離職した公立小中高の教員が計1319人と、過去最多を更新しました。さらに、休職した教員も7万人を超えるという高止まりが続いています。
この数字の背景には、業務量の増加、民間企業との採用競争の激化、児童生徒の指導や職場の対人関係など、複合的な要因が絡み合っています。しかし、この現実を単に「個人のストレス耐性の問題」や「学校の多忙化」という言葉だけで片付けてしまえば、本当の本質は見えてきません。
ここで立ち止まって問い直したいのです。
私たちは、人が人の中で人となる場所であるはずの学校を、どのような環境にしてしまっているのでしょうか。
「人を変える」ではなく「環境を創る」という視点
学校現場に限らず、スポーツのチームや一般の職場であっても、問題が生じたときに「もっと頑張れ」「気力で乗り切れ」と精神論に頼ってしまう場面に出くわします。
しかし、歴史的な最多というデータが物語っているのは、個人の努力や我慢の限界を超えた構造的な歪みです。
人は環境によって生きることもあれば、環境によって追い詰められることもあります。人は人の中で人となるからこそ、周囲の空気感や人間関係、そして日々のプレッシャーがその人の心身に与える影響は計り知れません。
「人を変えようとするのではなく、人が安心して成長し、挑戦できる環境を創る」
この原点に立ち返らなければ、いくら表面的な制度改革や業務量管理が進んだとしても、本当の意味で現場が息を吹き返すことはないでしょう。本当に大切なことは、お互いをすり減らすシステムから、お互いを支え合い、応援し合える関係性へと転換していくことです。
家庭や職場、チームに広げる「支え合う組織づくり」
この教員の離職問題は、決して学校という特殊な世界だけの話ではありません。
私たちが日々身を置く家庭、職場、そしてスポーツチームにおいても、構造は同じです。
・成果ばかりを求められ、内省や対話の時間が奪われていないか
・相談できる心理的安全性が確保されているか
・一人ひとりが「駒」ではなく「主体的な人間」として扱われているか
誰かの可能性を信じ、その成長を支えたいと願うリーダーや大人たちが、まず整えるべきは「誰もが自分の足で立ち、安心して息ができる環境」です。環境は変えることができます。そして、不条理な状況に直面したときでも、私たちは「自分にできることは何か」を問い続け、変革の小さな一歩を踏み出すことができます。
明日からの景色を変えるために
特別な出来事だけが私たちの人生を作るのではありません。日々の何気ない挨拶、ちょっとした声かけ、お互いの苦しみに気づくまなざし。そうした日常の積み重ねの中にこそ、温かい関係性を育む希望があります。
誰もが孤立せず、お互いに応援し合えるチームや組織を創っていくために、今日、あなたの周りの景色を少しだけ変えてみませんか。
あなたの周りには今、人が安心して挑戦し、心から輝ける環境がありますか。
教員の精神疾患による離職最多が突きつけるもの:人が輝く環境とは何か
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