「できた!」が子どもの未来を変える
皆さんは最近、「できた!」と心から感じたことがあるだろうか。

難しい仕事が終わったとき。苦手なことを乗り越えたとき。目標にしていたことを達成したとき。そんな瞬間に、私たちは嬉しさや達成感を感じる。
樺沢紫苑さんは、この達成感や成長実感から生まれる幸福を「ドーパミン的幸福」と呼んでいる。
目標を立てる。
挑戦する。
できるようになる。
認められる。
その過程で分泌されるドーパミンは、人に前へ進むエネルギーを与えてくれる。
学校はまさに、この「できた!」を積み重ねる場所である。
漢字が書けるようになった。
縄跳びが跳べるようになった。
友達の前で発表できた。
苦手な教科で点数が上がった。
一つ一つは小さなことかもしれない。しかし、その小さな成功体験の積み重ねが、「自分にもできる」という感覚を育てていく。
私は教育の中で、この「自分にもできる」という感覚ほど大切なものはないと思っている。
なぜなら、人はできると思えることに挑戦するからである。
反対に、どうせ無理だと思っていることには挑戦しない。
だから子どもたちには、成功体験が必要なのである。
ただし、ここで一つ気を付けたいことがある。
ドーパミン的幸福だけを追い求めると、人は苦しくなることがある。
もっと勝ちたい。
もっと評価されたい。
もっと結果を出したい。
その気持ちは成長の原動力になる一方で、結果だけを求めるようになると、うまくいかなかったときに大きく落ち込んでしまう。
だから樺沢さんは、幸福には順番があると言う。
まずセロトニン的幸福。
健康と安心。
次にオキシトシン的幸福。
つながりと信頼。
そして、その土台の上にドーパミン的幸福がある。
私はこの考え方にとても共感している。
安心できる場所がある。
応援してくれる仲間がいる。
だから挑戦できる。
だから「できた!」が生まれる。
この順番が大切なのである。
学校でも同じだ。
失敗したら笑われる教室で、子どもは挑戦できない。
分からないと言えない教室で、学びは深まらない。
助けを求められない環境で、人は成長しにくい。
しかし、安心できる。
仲間が応援してくれる。
失敗しても大丈夫だと思える。
そんな環境があると、人は自然と挑戦するようになる。
最近、「主体的な学び」という言葉をよく聞く。
しかし主体性とは、「自分でやりなさい」と言われて生まれるものではない。
挑戦してみたい。
やってみたい。
できるようになりたい。
そんな内側から湧き上がる意欲によって生まれるものである。
そして、その意欲を支えているのが、小さな成功体験なのである。
私はサッカーの指導でも同じことを感じる。
最初から上手な子はいない。
失敗を繰り返しながら少しずつ成長していく。
リフティングが一回増えた。
パスがつながった。
試合でボールを奪えた。
その一つ一つの「できた!」が、次の挑戦への原動力になる。
学校も同じではないだろうか。
100点を取った子だけが成功ではない。
昨日できなかったことが今日できた。
前より少し成長した。
その変化を見つけ、認めることが大切なのである。
だから私は、子どもたちを他人と比べるのではなく、その子自身の成長を見たいと思う。
昨日の自分と比べてどうだったか。
半年前の自分と比べてどうだったか。
そこに目を向けることで、本当の意味での成長実感が生まれる。
「毎日がスペシャル」
私はこの言葉が好きである。
なぜなら、成長は特別な日に起こるものではないからだ。
毎日の積み重ねの中で、人は少しずつ変わっていく。
その小さな変化に気付き、「できたね」と声をかけてもらえることが、人を前向きにする。
学校は、失敗しない人を育てる場所ではない。
挑戦できる人を育てる場所である。
そして、「できた!」という喜びを積み重ねながら、自分の可能性を信じられる人を育てる場所なのである。

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