【第1回】 主体的にさせたいなら、まずOSを疑え 〜教室は、まだガラケーのままかもしれない〜

PTA懇親会で、こんな話をしました。

最近はどうしても
「タブレット」「電子黒板」「ロイロノート」など、
ICT機器やアプリに注目が集まります。

でも、どうしても引っかかることがあるんです。

なぜ、教室そのものには目が向かないのか。

今、教室で起きていることを、
あえて例えるならこうです。

ガラケーに、最新アプリを入れようとしている状態。

まだ折りたたみ式の携帯電話の時代。
その端末に、今の最新アプリを入れようとしている。

当然、

インストールできない
動かない
使いこなせない

でも、それはアプリが悪いわけではない。

“土台(OS)が古い”だけなんです。

これを教室に置き換えるとどうか。

前向き一斉型の座席
教師だけを見る構造
子ども同士が関われない距離
対話が生まれにくい配置

こうした状態は、いわば
「旧型OSの教室」です。

そのままの状態で、

対話的な学び
協働的な学習
ICT活用

をやろうとしても、うまくいくはずがない。

だからこそ問いたいのは、

「どんなアプリを入れるか」ではなく、
「OSは更新されているか」です。

そんな中で、あるICT先進校の実践映像を見る機会がありました。

そこでは、

他の人の考えが一覧で見える
同じ意見の人がすぐに分かる

という活動が行われていました。

一見、とても先進的です。

でも、私は強い違和感を覚えました。

それって、本当に“つながっている”のか?

ここで、もう一度スマートフォンの例えで考えます。

最新のアプリで、

すぐに返信がくる
同じ意見の人とつながる
「いいね」がつく

確かに便利で、気持ちいい。

でも、

相手の表情は見えない
声のトーンも分からない
本音やニュアンスが伝わらない

結果、

誤解が生まれる
不安になる
関係は深まらない

つまりこれは、

「通信はできているが、関係はできていない状態」です。

この違和感をもう一歩深く考えると、
人の心と体の仕組みに行きつきます。

人の幸せや安心には、3つの物質が関係すると言われています。

セロトニン(安心・安定)
オキシトシン(信頼・つながり)
ドーパミン(快感・達成感)

まず土台になるのが、セロトニンです。

安心できる教室
落ち着いた空間
見通しのある授業

こうした“当たり前”が整っている状態。

次に重要なのが、オキシトシン。

目と目が合う
声を聞く
表情を感じる
空気を共有する

こうした“生の関わり”の中で生まれます。

つまり、人と人が直接関わることでしか育たない力です。

では、ICTでのやり取りはどうか。

文字で意見を見る
同じ考えを見つける

ここで主に働くのは、ドーパミンです。

「同じ意見があった」
「共有できた」
「見える化された」

この“気持ちよさ”。

ここで問題が起きます。

ドーパミンは満たされる。
でも、オキシトシンは育たない。

するとどうなるか。

つながっている“気”はする
でも信頼は深まらない
むしろ不安や不信が残る

これが、“つながっている風の教室”です。

本来、教室で育てたいのは何か。

人の気持ちを感じる力
言葉の裏を読む力
関係を築く力

つまり、人間力です。

その土台になるのは、

ICTではなく、

目と目が合う関係
声と声が交わる対話
同じ空間を共有する時間です。

だから順番が大事です。

まずセロトニン
安心できる教室環境

次にオキシトシン
生の対話・関係づくり

そしてドーパミン
ICTや活動での広がり

この順番が逆になると、

“刺激はあるのに、関係がない教室”になります。

若手の先生ほど、
今の教室の形を「当たり前」と思いがちです。

でも、その当たり前こそが、
一番疑うべき“旧型OS”かもしれません。

最後に問いです。

そのICTは、関係を深めていますか?
それとも、“つながっている風”をつくっているだけですか?

アプリを入れる前に、OSを疑う。

教室の当たり前を問い直すとは、
そういうことだと思います。

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