「生徒対教師」から「生徒対生徒」へ
こんにちは、ゴンです。
今日は、日々の授業づくりの中で改めて考えた「教室の机の配置」について綴ります。
1. 黒板に向かう机配置、本当に今の学びに合っている?
多くの学校では、教室の机が黒板に向かって整然と並んでいます。教師にとっては教えやすく、板書も見やすい配置です。私自身も、教員になった当初は何の疑問も抱かず、この「前を向く机配置」を当然のように使っていました。
でも、最近ふと考えるのです。
この配置は、いま私たちが目指す「主体的・対話的で深い学び」に本当に合っているのか?
2. 対話の主語は教師じゃない、生徒だ。
黒板に向く配置は、「教師対生徒」の構図をつくります。話すのは教師、聞くのは生徒。これは、知識を一方向に伝えるスタイルには適しているかもしれません。
けれど、今求められている学びの姿は違います。
「自ら考え、他者と対話し、学びを深める」。
その“他者”とは、教師だけではありません。隣に座るクラスメイトこそ、大切な対話の相手なのです。
そこで必要になってくるのが、机の配置。視線が自然に交差し、発言が生まれやすいようにするには、従来の一方向型では難しいと感じる場面が多くあります。
3. コの字型の配置にしてみたら…
あるとき、授業づくりに悩んだ末に、教室の机を思い切ってコの字型にしてみました。
その結果、驚くほど生徒同士の発言が自然に増えたのです。
互いの表情が見えることで、話しかける・受け止めるという行為に臨場感が生まれます。黙って聞くだけだった子も、「あ、それわかる!」と自然に口をはさむようになりました。
子どもたちの関係性が変わっただけでなく、授業の空気自体が柔らかく、開かれたものになったと感じます。
4. 木村泰子さんの実践に学ぶ
この変化を体感してから、私は改めて「教室づくり」に関する文献を読み直すようになりました。
その中で大きなヒントをくれたのが、木村泰子さんです。
大阪市立大空小学校で「すべての子どもが共に学ぶ学校」をつくった初代校長の木村さんは、「教室は子どもたちの関係性を育てる場である」と語ります。教室の机の配置や空間の使い方にまで心を配り、子ども一人ひとりの「居場所」と「出番」が確保されるように設計されていました。
その姿勢に強く共感し、私自身も机の配置を「管理のため」ではなく「学びのため」に考えるようになったのです。
5. 授業づくりは、教室づくりから
最近、国語の授業で「ワイドショーのコメンテーターになろう」という活動を行いました。ある説明文をもとに、生徒が自分の意見を持ち、それをクラス内で共有する言語活動です。
活動前に、こう問いかけてみました。
「みんな、ワイドショーってどんな風に話してる?」
すると、「机が丸くなってる!」「みんなの顔が見えるように座ってる!」と、すぐに答えが返ってきました。
教室を、自然に対話が生まれる場にしたいなら、机の配置も“発話を促す構造”にするべきだということを、子どもたち自身が教えてくれました。
おわりに:「当たり前」に、疑問を持ち続ける教師でいたい
机の配置は、ただの形ではありません。そこには、教育観や学びへの姿勢があらわれます。
「教師が教える教室」から、「子どもたちが共に学ぶ教室」へ。
その小さな一歩が、机の配置の見直しなのかもしれません。
私たち教師にできるのは、「当たり前」に目を向け、問い直し、子どもたちにとってより良い学びの場をつくること。
これからも、そんな実践を積み重ねていきたいと思います。
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