「グループは必要な時だけでいいよね」
この言葉、よく聞きます。
確かに一見、合理的です。
• 普段は前向き一斉
• 必要な時だけペアやグループ
• 話し合いの時だけコの字型
とてもバランスが良さそうに見えます。
でも、ここに一つ大きな落とし穴があります。
本当に「必要な時」は来ていますか?
少しだけ考えてみてください。
1年間、およそ1000時間の授業の中で、
• ペア活動は何回ありますか?
• グループ活動は何回ありますか?
• コの字型にしたことは何回ありますか?
そして、その時間は、全体の何%でしょうか?
おそらく、多くの教室でこうなります。
ほとんどが“前向き一斉”
つまり、「必要な時だけ」という考え方は、結果として“ほとんどやらない”と同じになるのです。
これは、私の周りの26人に聞きました。
ほぼ同じ傾向です。
一度Xで聞いてみたいところですね。
人は「最初の状態」に縛られる
なぜ、こうなるのか。
それは、人は“デフォルト(初期設定)”に強く引っ張られる生き物だからです。
一度決まった状態を変えるには、
• 手間がかかる
• 判断が必要になる
• エネルギーを使う
だから人は、無意識のうちに「そのまま」を選び続けるのです。
デフォルトが行動を決めるという事実
ここで、少し有名な話があります。
「亡くなった後の臓器提供」に関するものです。
ある国では、
• 「提供しない」がデフォルト(自分で登録する必要あり)
別の国では、
• 「提供する」がデフォルト(拒否すれば外れる)
この違いだけで、提供率が何倍も変わるという結果が出ています。
人の善意や価値観ではなく、“初期設定”が行動を決めてしまうのです。
スマホの設定、変えていますか?
もう一つ、身近な例です。
スマホの設定。
• 通知設定
• 文字サイズ
• 標準アプリ
どれくらいの人が、細かく変更しているでしょうか。
多くの人は、最初の設定のまま使い続けているはずです。
それほど、デフォルトの力は強いのです。
教室も、同じではないか
ここで、教室に戻ります。
もし、
• デフォルトが「前向き一斉」なら
→ ほとんどの時間は前向き一斉
もし、
• デフォルトが「コの字・グループ」なら
→ ほとんどの時間は対話的な環境
になるのは、自然なことです。
つまり、
「必要な時だけやる」ではなく、
「普段どうなっているか」がすべて
なのです。
実は、もう答えは出ている
ここまでくると、シンプルです。
主体的な学びを増やしたいなら、
• 方法を増やすのではなく
• 技術を磨くのでもなく
デフォルトを変える
これが一番早い。
100年前の教室から抜け出せているか
少し厳しい問いをします。
今の教室の形は、いつの時代から続いているでしょうか?
前向き一斉の構造は、実は100年以上ほとんど変わっていません。
それなのに私たちは、その前提のままで
• 主体的に
• 対話的に
• 深い学びを
と言っている。
これは、土台はそのままで、上だけ変えようとしている状態とも言えます。
おわりに
「必要な時だけやる」
この言葉は一見、正しそうに見えます。
でも実際には、何も変わらないための言葉になってしまっていることが多いのです。
だからこそ、ほんの少し発想を変えてみたい。
「何をやるか」ではなく、「最初からどうなっているか」へ
その一歩が、教室を大きく変えるきっかけになるはずです。

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