
職員室や教育の現場で当たり前のように使われているこの言葉ですが、「具体的に何が違うの?」と聞かれると、一瞬言葉に詰まってしまいませんか。
制度上の定義を調べると、行政の文書にはこう書かれています。
「地方公務員法等に基づき、臨時的任用は、職員の欠員等により、一定期間、正規職員の職務を代替する必要がある場合などに行われる任用です。一方、任期付任用は、任期を定めて採用する制度であり、採用の目的や要件は、一般職の任期付職員の採用に関する法律等に定められています」
法律や制度としての整理は、これで十分かもしれません。 「臨時的任用=急な欠員や産休・育休の穴を埋める『代替』」 「任期付任用=あらかじめ期間(1年〜3年など)を決めて採用する『計画的な任用』」
けれど、私たちが現場で感じている「何か引っかかる感じ」は、この制度の説明だけではすっきり解決しないはずです。
法律の違い以上に、私たちが向き合うべきなのは「その言葉が職員室の空気にどんな影響を与えているか」ではないでしょうか。
「臨時」という言葉には、どこか「一時的なつなぎ」「いつかいなくなる人」という響きがつきまといます。 どれだけ情熱を持って子どもたちと向き合っていても、周囲も、そして自分自身さえも「自分は臨時だから……」と、無意識に一歩引いてしまうことがある。
一方で「任期付」という言葉には、期間が限られているとはいえ「その期間、一つの役割を託された仲間」という響きがあります。
同じように子どもたちの前に立ち、同じように授業をつくり、同じように悩んでいるのに、雇用形態の「呼び名」ひとつで、主体的になれる度合いや、周囲からの頼られ方に目に見えない壁が生まれてしまう。
ここに、組織としての大きなもったいなさが潜んでいます。
組織心理学や人材育成の世界ではよく「ラベルが人の行動を決める」と言われます。 「補欠(代替)」として扱われると、人は無意識に「言われたことだけを波風立てずにやろう」というマインドになりやすい。反対に、どんなに短い期間であっても「特定の期間、このチームをともに創るパートナー」として期待されると、人は自分の頭で考え、主体性を発揮し始めます。
学校という場所は、正規も、臨任も、任期付も関係なく、全員が「子どもたちの成長」という同じ目的に向かうチームです。
子どもたちは、先生の雇用形態なんて知りません。 目の前にいる大人が、生き生きと仕事をしているか。周囲の先生たちと互いをリスペクトし合ってチームをつくっているか。その背中をまっすぐ見ています。
制度上の枠組みを変えることは、一教員には難しいかもしれません。 でも、職員室の中での「呼び方」や「関わり方」という環境は、今日からでも変えられます。
「臨任の先生」として扱うのか。 「今年度、ともに子どもたちを育てる大切な仲間」として扱うのか。
相手を変えようとするのではなく、相手が「ここで自分の力を発揮したい」と思えるような言葉をかけているだろうか。
明日、職員室で。 新しく入られた先生や、少し遠慮がちに過ごしている先生に、こんな問いを投げかけてみるのはどうでしょうか。
「〇〇先生は、この学級の様子を見ていてどう感じますか?」
その一つの問いかけが、「ただの代替」というラベルを外し、一人の教員として主体的に走り出すきっかけになるかもしれません。
もしあなたの周りに、自分の立場に少し迷いを感じながら頑張っている先生がいたら、この記事をきっかけに「今年度、どんなチームにしていこうか」と、温かいお茶でも飲みながら話してみてください。

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