なぜ「足裏ペタ」を教えてこなかったのか?〜姿勢指導を見直す六月〜
「いい姿勢にしなさい」
教師なら一度は言ったことがある言葉かもしれません。ですが、いったい「いい姿勢」とは、どんな姿勢のことなのでしょう?
最近、特別支援学級で書写の授業に入る中で、教科書にしっかりと「いい姿勢」が書かれていることをあらためて知りました。
お腹と机の間にげんこつ1個分(=グー)あけて、足裏を床にペタッ(=ペタ)とつけ、背筋をピンと伸ばす(=ピン)。
この3点を「グー・ペタ・ピン」と呼んで指導しています。すると、曖昧だった姿勢の指導が一気に明確になり、子どもたちも反応しやすくなるのです。
しかもこの内容は、書写だけでなく、1年生の国語の教科書にも掲載されているのです。「いい姿勢」は、どの教科にも、どの学年にも関わる“学びの土台”なのです。
足裏がついていない子は意外と多い
ところが、教室を見回すと、足裏がしっかり床についている子どもは、想像以上に少ないです。
椅子を浅く腰掛けてつま先立ち、片足を組む、足が床につかない高さの椅子に座っている…。
その状態で「落ち着きなさい」「集中しよう」と声をかけても、土台が整っていなければ、効果は限定的です。
建物に例えるなら、どんなに立派な柱や屋根を作っても、土台が不安定ならすべてがぐらついてしまう。それと同じです。
「足裏ペタ」が心を落ち着かせる
足裏が床にしっかりついていると、脳が「安定している」と判断し、副交感神経が優位になります。
その結果、呼吸が整い、気持ちが落ち着きやすくなるのです。
つまり、「姿勢を正しなさい」と言う前に、「足が床についているか?」という視点が必要なのです。
教える側が「姿勢」を理解していなかった
そもそも、私たち教員自身が「いい姿勢とは何か」を明確に捉えられていなかったのではないでしょうか。
「いい姿勢にしなさい」と曖昧に伝えるのは、たとえるなら「美味しいカレーを作って」とだけ言うようなものです。
材料も分量も示さずに「早く仕上げて」と言っても、相手には伝わりません。子どもたちにとっても同じことです。
今こそ、「ペタ」から始めよう
今は六月。梅雨の晴れ間で子どもたちの気持ちも揺れやすい時期です。
だからこそ、落ち着いた教室づくりの第一歩として、「足裏ペタ」から見直してみませんか。
「グー・ペタ・ピン」は、すぐに実践できて、全学年共通の合言葉になります。
まずは、朝の会や授業前の「ペタ、確認しようか」という一言から。
教師の私たちが、「姿勢の大切さ」を本気で理解し、伝えていくこと。それが学びの土台を支える第一歩になるはずです。
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