塾講師は「教科指導の専門家」
塾講師の使命は極めて明確です。
* 成績を上げる
* 志望校に合格させる
* 分かりやすく教える
成果も比較的見えやすく、テストの点数や合格実績で評価できます。
したがって、生徒は
「分かりやすかった」
「成績が上がった」
という視点で講師を評価できます。
つまり、生徒自身がサービスの受け手でもあるため、一定程度評価者になり得ます。
学校教員は「人を育てる専門職」
一方、公立学校の教員の仕事は、教科を教えることだけではありません。
例えば、
* 学習指導
* 生徒指導
* 学級経営
* 特別支援教育
* 保護者対応
* 教育相談
* 安全管理
* 危機管理
* 道徳教育
* キャリア教育
* 行事運営
* 校務分掌
* 教職員との協働
* 地域との連携
など、多岐にわたります。
さらに重要なのは、
「今、子どもが嫌だと思う指導が、数年後には人生の支えになることもある」
という教育の特性です。
教育の成果は、その場では見えません。
10年後、20年後に初めて分かるものも数多くあります。
子どもは教員の仕事全体を見ることができない
子どもが見ている教員の姿は、学校生活のごく一部です。
例えば、
* 保護者対応
* 職員会議
* 校内研修
* 教材研究
* 他学年との連携
* 教育課程の編成
* 校務運営
* 危機対応
これらを子どもは知りません。
つまり、評価に必要な情報そのものを持っていないのです。
評価とは専門性が必要な仕事
評価とは「好き・嫌い」ではありません。
本来は、
* 目標を理解し
* 求められる役割を理解し
* 行動を分析し
* 成果を総合的に判断する
高度な専門技術です。
だから企業でも、管理職の評価は管理職が行い、
医師の技術は医師が評価し、裁判官の仕事は法律の専門家が評価します。
専門職ほど、専門家による評価が基本になります。
子どもの声は大切。しかし、それは「評価」とは別
もちろん、
「先生の説明が分かりやすかった」
「安心して相談できた」
「授業が楽しかった」
という子どもの声は、学校改善のための貴重な情報です。
しかし、それは教育活動を改善するための参考意見であり、教員の能力や資質を総合的に判定する「人事評価」とは性質が異なります。
まとめ
「子どもの意見を聴くこと」と「子どもに教員を評価させること」は、似ているようで全く違います。
評価とは、教育という専門職の目的や役割を理解し、多面的な視点から総合的に判断する高度な営みです。
塾講師の仕事は、主として教科指導の成果によって評価されます。一方、公立学校の教員は、学習指導だけでなく、生徒指導、学級経営、保護者対応、危機管理、組織運営など、多面的な職務を担っています。その全体像を把握していない子どもが、教員を総合的に評価することには限界があります。
子どもの声は学校改善に生かすべき貴重な情報です。しかし、それをそのまま教員評価と同一視することは、学校教育の本質と教員の専門性を十分に理解した議論とは言えないでしょう。

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