JFAの皆様へ

日頃より、日本サッカーの発展のためにご尽力いただき、本当にありがとうございます。

そして、森保一監督をはじめ、日本代表に関わるすべての皆様、感動をありがとうございました。

ワールドカップで私たちが目にしたのは、勝敗だけではありませんでした。

「自ら考え、仲間と対話し、チームとして課題を解決していく選手たちの姿」でした。

私は、この姿こそが森保ジャパンが日本サッカーに残した最大の財産だと感じています。

しかし、この財産は、まだ4種・3種年代の現場や、多くの指導者の間まで十分に届いているとは言えないように感じます。

試合中の給水タイム。

監督が前に立って指示を出すのではなく、選手同士が輪になって話し合う。

森保監督は少し離れた場所から、その様子を見守る。

この姿を見て、「監督は何をしているのか」「もっと指示を出すべきではないか」と感じた人も少なくありません。

それは当然だと思います。

日本のサッカー界は長い間、「良い指導者とは、前に立って教え、細かく指示を出す人」という文化の中で歩んできました。

だからこそ、森保監督のマネジメントは、これまでの常識とは異なるものとして映ったのでしょう。

しかし、私はあの姿勢こそが、日本サッカーがこれから世界で戦い続けるために必要な文化だと考えています。

森保監督が育てようとしたのは、「指示を待つ選手」ではなかったのではないでしょうか?

自ら考え、仲間と対話し、自ら判断し、自ら責任を負う選手でしょう。

これは戦術ではありません。

人づくりの哲学です。

そして、この哲学は、一人の監督のものとして終わらせてはいけない財産だと思います。

だからこそ、お願いがあります。

ぜひJFAとして、森保ジャパンが「どんな戦術を採用したのか」だけではなく、「どんな人を育てようとしていたのか」を、未来へ残していただけないでしょうか。

なぜ選手主体だったのか。

なぜ監督は一歩下がったのか。

なぜ選手同士の対話を大切にしたのか。

どのような力を育てようとしていたのか。

その背景にある哲学を言語化し、映像や指導者講習会、リフレッシュ研修、トレセン、47都道府県協会などを通して、草の根まで届けていただきたいのです。

なぜなら、人は「やり方」だけを学ぶと形だけを真似します。

しかし、「なぜそうするのか」という哲学まで理解すると、それぞれの地域、それぞれのチーム、それぞれの子どもたちに合わせて、自分たちの力で育成を発展させていくことができます。

これは、森保監督の成功体験を広めてほしいというお願いではありません。

日本サッカーが手にした育成文化を、日本サッカー全体の財産として未来へ受け継いでほしいという願いです。

日本サッカーはこれまで、世界から「勝ち方」を学び、発展してきました。

これからは、日本が世界へ「人の育て方」を発信する時代になれるのではないでしょうか。

その第一歩は、森保ジャパンが残した「選手主体」という哲学を、日本中の子どもたちと指導者へ、草の根まで届けることだと信じています。

この文化を未来へ受け継ぐことができるのは、JFAしかありません。

日本サッカーの未来のために、そして未来の子どもたちのために、この財産をぜひ日本中へ届けていただけることを、一人の指導者として心から願っています。

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