
選手には「自分たちで考えろ」と言うのに、子どもには「前を向いて座りなさい」と言うのか。
広島観音高校サッカー部の実践を見学したとき、選手たちが自分たちで話し合い、課題を見つけ、次の行動を決めていく姿が印象に残った。
試合前も、ハーフタイムも、試合後も、選手たちが考え、対話し、チームとして修正していく。そのミーティングの場には、互いに顔を合わせて話し合える環境が用意されていた。
もちろん、選手同士が向き合って座れば、主体性が育つわけではない。大切なのは、自分たちで考え、話し合い、決めることが、日常の活動に位置づけられていることだ。
では、学校はどうだろう。
子どもたちに「主体的に学びなさい」「友達と対話しなさい」と求める。その一方で、教室では全員が前を向いて座ることが基本になっている。
話し合いの時間になれば机を動かし、終われば元に戻す。
私は、この順番を逆にしてもよいのではないかと考えている。
最初からコの字型やグループ型を教室の基本形にしておく。前を向いて説明を聞いたり、個人で集中して取り組んだりするときには、その都度配置を変えればよい。
コの字型でも、ペアを意識した座席配置にすれば、隣同士で気軽に相談できる。グループ型なら、複数の仲間と考えを出し合いやすい。大切なのは、特定の形にこだわることではなく、対話や協働が生まれやすい環境を日常のものにすることだ。
主体性を求めることと、主体性を発揮しやすい環境をつくること。この二つは、同じようで違う。
子どもたちに変化を求める前に、私たち大人が変えられるものはないだろうか。
教室の当たり前を変えることから、学びの当たり前を変えていく。
それが、私の提案する「デフォルトシフト理論」の出発点である。

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