「わからないから教えて」が言える教室こそ、学びの始まり

授業が「わかりやすいこと」は、もちろん大切です。
私たちは、「理解できた」「できるようになった」と子どもが実感できるように、教材を工夫し、板書を整え、説明を磨いています。

けれど今、あらためて立ち止まって考えたいのです。

「わからないから教えて」と、子どもが自然に言える教室になっているだろうか?

“わかる授業”から“言える教室”へ

日本代表元監督・岡田武史さんは、選手への声かけとしてこう語っています。

「どうしたの?」
「どうしたいの?」
「手伝えることはある?」

この問いかけがもつ力は、相手を“指導対象”ではなく、“対話のパートナー”として尊重していることです。

この声かけがあったからこそ、選手は安心してこう言えるのです。

「分からないから、教えてほしい」

この言葉は、できない自分をさらけ出す勇気そのものです。
そして同時に、「学ぼうとしているサイン」でもあります。

⭐︎教室でも、この流れを大切に

では、私たちの教室でもどうすればよいのでしょうか。
1.問いかける
「どうしたの?」「今、どう思ってる?」「どうしたいの?」「どこか分からないところある?」
2.受けとめる
「そうか、それが分からなかったんだね」「伝えてくれてありがとう」
3.助けを求める力を育む
「わからないから教えて」——これを、学びのスタートラインにする。
4.言葉の循環を生む
 「どうぞ(教える)」
 「ありがとう(受け取る)」
 「どういたしまして(関係が深まる)」

この一連の流れは、単なるやりとりではありません。
「学びは、支え合いのなかで深まっていく」という文化そのものです。

最後に

わかりやすく教えることを目指す私たちにとって、
「わからないから教えて」は、失敗の証ではなく、成功の兆しです。

子どもが「助けて」と言えること、
教師が「いいよ」と差し出せること。
そのあとに生まれる、「ありがとう」「どういたしまして」の関係性。

この小さなやりとりが、
授業を、“伝える場”から“つながる場”へと変えていきます。

説明が伝わったかどうかではなく、子どもが声を出せたかどうかを、授業の価値に。
そんな授業づくりを、私たちみんなで考えていきませんか。

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