「整える」は、信頼を結び直すこと。〜教室環境が荒れを立て直す第一歩になる理由〜
■なぜ、教室環境を整えるのか?
「教室が落ち着かない」「指示が通らない」「関係づくりがうまくいかない」
そう感じたとき、あなたは何から手をつけるでしょうか?
子どもの指導?授業の改善?声かけ?もちろん、それも大切です。
でも、私がこれまで出会ってきた多くの先生方が、「見落としていた」と振り返るのが――
“環境”の力。
実は、教室という空間そのものが、学級を整え直すための“教師の言葉”になることがあるのです。
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■主任との会話の中で、気づかされたこと
ある日、先輩主任との会話の中で、私は何気なくこう聞きました。
「環境って、そんなに影響あるんですか?」
すると、主任は少し笑いながらこう言いました。
「環境ってね、“教師の無言の指導”なんだよ。」
掲示の仕方、座席の向き、机の整列、床の清潔さ。
それらはすべて、教師が子どもに「この場所ではどうふるまってほしいか」を語っているのだと。
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■整った空間が、子どもたちに与えるもの
たとえば、こんな工夫があります。
• 次の単元に関する掲示物をさりげなく貼っておく
→ 見慣れた図や言葉が“知ってる感”を生み、学習へのハードルが下がる。
• コの字型に座席を配置する
→ 子ども同士の視線が交わり、自然と対話が生まれる。
• 子どもの作品を丁寧に掲示する
→ 「自分は認められている」と実感し、教室が“安心の場”になる。
整った空間は、「ここでなら頑張れるかも」という気持ちを引き出してくれるのです。
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■荒れた学級にこそ、環境からアプローチする
学級が荒れている。子どもと気持ちがすれ違っている。
そんなとき、頭では「対話しなきゃ」「指導しなきゃ」と焦ってしまいます。
でも、主任はこう教えてくれました。
「そういうときこそ、まず整えるんだよ。」
整った空間は、“秩序”と“安心”の両方を与えてくれます。
子どもたちは、言葉ではなく環境から「戻ってきてもいいんだ」と感じ取ることがあるのです。
教育者・森信三氏の言葉があります。
「場を清め、時を守り、礼を正す」
まず“場”から整えることで、“関係”が立ち上がってくる。
環境は、指導が届かないと感じたときの、信頼を結び直す入り口になってくれるのです。
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■まとめ:「整える」は、あきらめないというメッセージ
日々の忙しさの中で、子どもに働きかける余裕がなくなってしまうときもあるかもしれません。
でも、たとえ言葉が届かなくても、整った教室が語ってくれることがあります。
• 整った空間は、「ここは大切な場所だ」と子どもに伝える
• 掲示や座席の工夫が、学びや対話のきっかけになる
• 荒れた学級には、“整える”ことが一番シンプルで一番効く処方箋になることもある
迷ったら、整える。
それは、子どもたちとの関係を信じ直すという、教師からのメッセージなのかもしれません。
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