119番に電話をかけると、消防本部では必ずこう聞かれます。
「事故ですか?火事ですか?」
最初に大枠を分けてから、必要な質問を重ねる。
それは冷たさではなく、命を守るための合理性です。
この仕組みは、実は――
学校の電話対応にも、そのまま当てはめられると感じています。
⭐︎学校の代表電話はいま、何でも引き受けている
学校には、毎日さまざまな電話がかかってきます。
• 欠席連絡や学校生活の相談
• いじめや安全に関わる緊急性の高い案件
• 家庭内や学校外の問題
• 解決を求めているわけではなく、ただ話を聞いてほしい声
これらが、すべて同じ入口に流れ込み、
最初から最後まで人(教職員)が対応しています。
⭐︎最初に流す、この一言が空気を変える
まず、学校の電話にも、この一言を入れたい。
「この電話は、
内容を正確に記録し、
誤解やトラブルを防止するために録音されています。
あらかじめご了承ください。」
これは管理や監視のためではありません。
冷静に話すための土台です。
この一言があるだけで、
言葉の強さは確実に和らぎます。
⭐︎「それは学校では対応できません。」の前にある現実
学校は、簡単に線を引いているわけではありません。
実際には、
• 話を丁寧に聞き
• 感情を受け止め
• 状況を整理し
• 校内外で確認し
すべてやった末に、
ようやく、
「それは学校では対応できません。」
と伝えています。
これは最初の拒否ではなく、最後の結論です。
その分、時間も気力も大きく消耗します。
⭐︎問題は、先生たちの姿勢ではない
ここで強調したいのは、
教職員の努力不足の話ではないということです。
問題は、
最初に仕分けない構造にあります。
消防は、
「受けてから分ける」ことをしません。
必ず、
分ける → 聞く → 動く
この順番です。
⭐︎学校版「事故ですか?火事ですか?」
学校の電話にも、最初にこの問いがあっていい。
「学校生活・学習・行事に関することは1を」
「安全・いじめ・緊急性に関わることは2を」
「学校外・家庭内の問題については3を」
この時点で、
学校が「何を担い、何を担わないか」が
自然に共有されます。
⭐︎「対応できない」は、最初に示すほうが親切
家庭内や学校外の問題を選んだ場合は、
「こちらの内容については、
学校では直接対応することができません。
専門の相談窓口をご案内します。」
と、淡々と案内する。
最後に断るより、
最初に線を見せるほうが、ずっと親切です。
それでも、「ただ聞いてほしい人」はいる
すべての電話が、解決を求めているわけではありません。
• ただ不安を吐き出したい
• 学校に聞いてもらえた、という実感がほしい
そんな声も、確実にあります。
だからこそ、
「すぐの対応ではなく、
ご意見・お気持ちを伝えたい方は4を」
という逃げ道を用意します。
ここでは、
「すぐの解決は約束できない」
ことを最初に伝えたうえで、受け止める。
⭐︎間違った番号を選んでも、責めない
番号を間違える人、
あえて違う番号を選ぶ人もいます。
その場合は、
「内容が異なる可能性があります。
該当する番号を選び直すか、
ご意見としてお預かりする場合は4をお選びください。」
と、静かに整理を戻す。
消防本部が
「事故か火事か分からない」電話に
落ち着いて質問を重ねるのと同じです。
⭐︎これは、学校の働き方改革でもある
ここが一番伝えたい点です。
この仕組みは、
単なるクレーム対策ではありません。
• 教員が一次仕分けを担わなくて済む
• 感情労働が大幅に減る
• 「受けてから断る」場面がなくなる
• 本来の教育の仕事に集中できる
これは立派な、学校の働き方改革です。
教職員を守ることで、
結果的に、子どもたちを守ることにもつながります。
気合ではなく、仕組みで守る
教員の善意や我慢に頼る改革には、限界があります。
消防に当たり前にある合理性を、
学校にも。
「事故ですか?火事ですか?」
この問いが、
命を守っているように。
学校の電話にも、
働き方を変える入り口がある。
そう思っています。

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