⭐︎指導現場でまたも発覚した「言葉のすれ違い」
指導者の皆さん、もしかすると普段のトレーニングでこう思うことはありませんか?
「なんであの子は『サポートしろ』と言っても動き出さないんだ?」
「近づけと言ってるのに、いつまでも立ったままなんだ?」
それ、もしかしたら——
「サポート」という言葉の定義が、あなたと選手でズレているだけかもしれません。
私たちのチームに起きたのは、まさにその典型例でした。
コーチが求める『サポート』(角度と距離を作る動き)
私たちが「サポートしろ!」と言うとき、その意図はとても明確です。
● コーチの意図
• ボール保持者に対して、
角度がつく・距離が適切・相手から隠れる位置に動くこと
• 受けられるラインを作り、次のプレーをスムーズにすること
• ただ近づくだけではなく、相手DFの“影”から抜けてラインを作り直す賢い動き
つまり私たちはこういうイメージでした。
「10番、サポート!」=“相手を背負わないで受けられる新しい位置へ動け!”
選手がやっていた『サポート』(声かけ・応援)
しかし実際の選手の行動は——驚くほど違いました。
● 選手の行動
• 身体はその場に立ったまま
• ボール保持者に向かって
「いけ!」「出せるよ!」などの声をかける
● 選手の解釈
「サポートしろ」=“味方を励ましたり声でサポートしろ”
彼は一生懸命だったのです。
でも、私たちが求める“位置取りのサポート”とは全く違う。
“なぜ動かない?
なぜ同じ位置に立ち続ける?”
と思っていた私たちの疑問は、単純な誤解で説明がつきました。
⭐︎言葉のすれ違いは、成長の最大の敵
この一件で強く感じたのは、
選手はできないのではなく、理解している言葉が違うだけ。
理解が違うのだから、アウトプットも違う——ただそれだけ。
ということでした。
⭐︎言葉の壁を壊す3ステップ(別事例にも完全対応)
1. 言葉の「共通辞書」を作る
「サポートって何?」
「どんな動きのこと?」
と、選手にまずは説明させてみる。
※この段階で、びっくりするほど定義が違うことが多い。
2. 動きに名前を貼りつけ、言葉と一体化させる
動いた瞬間に、
「それがサポート!」
「今の位置の取り直しが“角度のサポート”だ!」
と、成功した動きに言葉を乗せていく。
これだけで専門用語が定着します。
3. DEMO → TRY → REVIEW → PRAISE のサイクル
• コーチがやって見せる
• 選手がやってみる
• 一緒に確認する
• 良いところを褒めて定着させる
山本五十六の型は、サッカー指導でもやはり最強。
⭐︎言葉の共有ができた瞬間、チームは一気に強くなる
言葉の定義が一致しただけで、
その選手の動きは劇的に変わりました。
いまでは彼は、
「コーチ、サポートは“角度と距離”ですよね?」
と言いながら、自分で位置を修正できるようになっています。
あなたの現場ではどうですか?
「寄せろ」「開け」「運べ」「外せ」
サッカーの専門用語は、同じ言葉でも意味が複数あります。
指導者の“当たり前”は、選手の“当たり前”とは違う。
だからこそ、
今日から “言葉のすり合わせ時間” を、5分でもいいので作ってみませんか?
必ず、選手の理解も、動きも、そして関係性も変わります。

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