食器を音を立てずに片付けることの意味

―九月から全職員で同じ方向を向いた指導を―

なぜ音を立てないことが大切なのか

職員会議で取り上げられた「給食の食器を片付ける際の音」。一見すると子どもらしい行動に思えますが、実は学校の教育目標や学級目標と矛盾する行為につながります。

「仲間を大切にしよう」と掲げる一方で、食器を乱雑に扱ってよいと暗黙のうちに容認してしまえば、子どもは矛盾を感じ取ります。その矛盾はやがて、教師の意図とは逆の価値観を学ばせてしまうことになります。これがいわゆる隠れたカリキュラムです。

三つの観点から考える

食器を静かに片付けることには、次の三つの意味があります。

第一に、周囲への配慮です。片付けの場面で大きな音を立てることは、周囲に不快感を与えます。静かに扱う姿勢は、相手を思いやる心の表れとなります。

第二に、物を大切にする心です。食器は毎日使う大切な道具です。乱暴に扱えば傷みが早まり寿命が縮んでしまいます。物を丁寧に扱うことは、命や環境を大切にする心を育てることにもつながります。

第三に、作ってくれる方への感謝です。給食は調理員の方が早朝から準備し、自治体が予算を投じて整えています。食器を静かに扱う姿勢は、その働きや支えに対する感謝を表現するものでもあります。

この三つを理解して指導することで、子どもにとって「音を立てない」という行為が単なるマナーではなく、心の成長につながることだと納得できるようになります。

子どもに「なぜ」を伝える

大切なのは、単に「音を立てないように」と言うだけではなく、なぜそうするのかを子どもと共有することです。

「どうして音を立てない方がいいと思う」と問いかけ、子ども自身に考えさせることが大切です。自分で言葉にした理由は記憶に残り、行動の変容にもつながります。教師が一方的に「ダメだからダメ」と伝えるだけでは、本質的な理解は生まれません。

教師の姿が最大の教材

さらに欠かせないのは、私たち教師自身の行動です。給食の片付けで食器を丁寧に重ね、静かに運ぶ姿を子どもに見せること。それが率先垂範です。

子どもは教師の背中をよく見ています。教師がまず姿で示すことで、言葉以上に強いメッセージを伝えることができます。「先生がやっているから自分もやろう」という自然な動きが子どもに生まれていくのです。

一貫したメッセージを

学級目標に「仲間を大切に」「思いやりを持って」と掲げながら、日常の片付けで食器を雑に扱うことを許してしまえば、それは大きな矛盾になります。矛盾したメッセージは隠れたカリキュラムとなり、無自覚に子どもの価値観に影響していきます。

だからこそ、九月からは全教職員が同じ意識で指導にあたることが重要です。教師の姿勢が一貫していれば、子どもはその中で安心して学び、正しい価値観を身につけていくことができます。

まとめ

食器を音を立てずに扱うことは、周囲への配慮、物を大切にする心、そして作り手への感謝を表す行為です。なぜそうするのかを子どもと共有し、教師自身が率先垂範することで、学級目標や学校の教育理念と矛盾しない指導が実現できます。

日々の給食の片付けという小さな行為の中に、子どもの心の育ちを支える大きな教育的価値があります。私たちがまず納得し、姿で示すことで、子どもは確かな学びを受け取ることができるのです。

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