衝撃の事実!⑦コーチが求める「ラインを上げろ」と、選手が上げていた“もの”が違った日

⭐︎「ラインは上げた」——それでも失点は止まらなかった

失点直後、ベンチから出た言葉。

「ラインを上げろ!」

選手は前に出る。
確かに数メートルは上がっている。
それでも、次の一本で裏を取られ、再び失点。

——なぜ?

答えはシンプルでした。

コーチと選手で、「ラインを上げる」の意味が違っていた。

◆コーチが求めていた「ラインを上げろ」

コーチが見ていたのは、高さではありません。

● コーチの意図
• 最終ラインと中盤の距離を縮める
• 中盤をコンパクトにする
• 相手を
• 後ろ向き
• 横向き
でプレーさせる
• 前を向いて蹴らせない状況を作る

つまり——

「ラインを上げろ」=
“前に出ろ”ではなく
“中盤を締めろ”

ラインは目的ではなく、手段でした。

◆選手がやっていた「ライン上げ」

一方、選手の行動はこうでした。

● 選手の行動
• 自分の立ち位置を前に動かす
• 味方と揃っているかは意識しない
• 中盤との距離は見ていない

● 選手の解釈

「ラインを上げろ」=“今より前に立つこと”

だから選手からすれば、

「言われた通り、前に出ている」

しかし、
中盤との距離は縮まっていない。

⭐︎なぜ「上げたのに」裏を取られるのか

ここが一番の落とし穴です。

ラインを上げると、
物理的に背後のスペースは必ず広がる。

にもかかわらず失点が続くのは、
• 中盤が間延びしたまま
• 相手が前を向ける
• 正確なキックが蹴れる

この状態でラインだけを上げているから。

これは、

守備を前進させたのではなく、
危険を前に差し出している状態

です。

⭐︎ラインを上げる意味が生まれる条件

ライン上げが「守備として成立する」のは、次の条件が揃ったときだけ。
1. 中盤がコンパクト
2. 相手ボール保持者が
• 後ろ向き
• 横向き
3. プレスが連動している
4. 最終ラインが揃って動いている

この状態ではじめて、
• 背後は「ある」
• しかし 使えない

状況になります。

⭐︎言葉を揃えたら、失点が減った

ミーティングで、こう言い換えました。

「ラインを上げろ」じゃなくて、
「中盤を締めるぞ」
「前を向かせるな」

すると、
• 無理に前に出る選手が減り
• ラインのズレが消え
• ロングボールの精度が落ちた

言葉を変えただけで、現象が変わったのです。

⭐︎ズレをなくす3つの視点

① 高さではなく「距離」を見る
• 最終ラインと中盤の距離は?
• 15mか?30mか?

② 合図を決める
• 誰が上げる合図を出すのか
• GKかCBか

③ 成功基準を共有する
• 前に出たか?ではない
• 相手が前を向けなかったか?

⭐︎一番伝えたいこと

「ラインを上げろ」は、
とても危険で、同時にとても強力な言葉です。

だからこそ、
• 使うなら
→定義を揃える
• 使えないなら
→別の言葉に置き換える

それだけで、事故は防げます。

まとめ(指導者へのメッセージ)
• ラインを上げる目的は
背後ではなく中盤
• 上げること自体に価値はない
• 中盤が締まった結果として、ラインが上がる

この順番を共有できたとき、初めて「ライン上げろ」は武器になります。

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