⭐︎また見つかった！指導の現場に潜む「言葉の影」
皆さんのチームでも、一度はこんな場面があったのではないでしょうか？
「寄せろって言ってるのに、なんで止まる？」
「もっといけるだろ！」
そう思って選手を責めてしまいそうになる——
しかし今回わかったのは、
選手が“わざと寄せない”のではなく、“寄せる”の捉え方が違っただけだということでした。
◆コーチが求める「寄せろ」（コースを切りながら距離を詰める）
私たちが伝えたい“寄せ”の本質はここです。
● コーチの意図
• 相手に自由を与えないために距離を詰めること
• 同時に、シュートコース・パスコースを切る角度で追い込む
• GKと連動し、相手を“ハメる”守備に持ち込むこと
つまり、こういうイメージです。
「寄せろ！」＝“距離と角度をコントロールし、相手に迷わせる守備”
◆選手がやっていた「寄せ」（勢いよく飛び込む → 減速して止まる）
しかし実際の選手の行動は、私たちの想定とは真逆でした。
● 選手の行動
• 相手へ全速力で向かう
• 「やばい取れないかも…」と思った瞬間にストップ
• 結果、間合いは空いたまま
• 相手に簡単に前進される
● 選手の解釈
「寄せろ」＝“スピードを上げて相手に近づくこと”
角度・間合い・コースを切るという概念はゼロ。
「スピードだけ増やす」のが“寄せ”だと信じていたのです。
だから彼にとっては——
スピードを出して近づいて、止まったら“寄せた”つもり。
でも、コーチから見れば、
“寄せていないどころか、自分で自分を追い込んでいる…”
というズレが生まれていたのです。
⭐︎言葉が一致した瞬間、守備が変わった
ミーティングで動きの定義を揃えた瞬間、
彼の守備は別人のように変わりました。
「寄せろ」→ “角度を決めて、足を止めずに詰める”
「コース切れ」→ “身体の向きで制限する”
言葉の辞書が一致しただけで、判断が速くなり、迷いが消えました。
⭐︎ズレをなくすための３ステップ（守備Ver.）
1. “寄せる”とは何か、絵で示す
角度
距離
身体の向き
スピードの変化
これを図・動画・歩きながらでもいいので見える化する。
2. 成功した動きに言葉を“上書き”する
• 「今のスピード調整、最高の寄せ！」
• 「その角度が“相手を消す寄せ”だ！」
動きにラベルを貼っていくと、言葉が自然に一致していきます。
3. 実践で“寄せ→奪わない守備”を経験させる
寄せ＝奪うではない。
寄せ＝奪える状態に持ち込む動き。
この“意味の逆転”を理解させると、守備が一気に安定します。
⭐︎言葉の共有が守備の質を変える
今回の一件で確信したのは、
「寄せろ」は、選手にとって“曖昧な言葉”である
ということでした。
そして、
曖昧な言葉は、曖昧な守備を生む。
言葉がそろった瞬間、
守備も判断も、そしてチーム全体の一体感も見違えるほど変わります。
あなたの現場ではどうですか？
• 「開け」
• 「出せ」
• 「外せ」
• 「運べ」
• 「スライド」
このあたりの言葉も、選手によって解釈がバラバラになりがちです。
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