自主性と主体性、サッカーの現場でどっちを育ててる?
ある週末の練習後。グラウンドの隅に、ペットボトルとビブスが数枚。
声をかけようとした瞬間、一人の選手がサッと動き、何も言わずに片づけ始めた。
「お、やるな」と思った。
でもふと、こんな問いが頭をよぎった。
これは“自主性”?
それとも“主体性”?
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「自主性」と「主体性」の違い、説明できますか?
ざっくり言えば、こう。
– 自主性:言われなくてもやる(=行動に意欲あり)
– 主体性:何をやるかを自分で決める(=判断と責任が自分にある)
つまり、どちらも前向きではあるけど、
“決めているのは誰か”が違う。
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サッカーの現場で、こう見えてくる
■ 練習前のアップ
– 自主性のある選手:
→ 前回のストレッチやランメニューを思い出して動き出す
– 主体性のある選手:
→ 「今日暑いな」「太ももが張ってるな」と身体の状態を見て、自分に合うアップに調整
→ 仲間の状態にも気づいて声をかける
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■ コーチが来る前の時間
– 自主性のある選手:
→ 言われたことを思い出して、そのまま練習する
– 主体性のある選手:
→ 「自分、トラップからの展開で詰まること多いな」
と自分で課題を設定して、工夫しながら練習を組み立てる
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■ 失点したあと
– 自主性のある選手:
→ 円陣を組もうと声を出す、「切り替えよう」と言える
– 主体性のある選手:
→ 「あの右サイドが高く上がってる。左裏が空いてる」
と状況を分析し、次の具体的対応を仲間に提案できる
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■ 練習後の片づけ
– 自主性のある選手:
→ マーカーやビブスを率先して片づける。言われなくてもやる
– 主体性のある選手:
→ 「ビブス濡れてるな、干した方が次の人たちも使いやすい」
→ 次のことを考えて行動する
→ 後輩に「こういうの気づけるといいぞ」と伝えられる
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じゃあ、どう育てる?コーチの関わり方
▷「問いかけ」で引き出す
– 「今日はどこがうまくいかなかった?」
– 「なんでそのプレーを選んだ?」
– 「今、自分のプレーに点数をつけるとしたら何点?」
まず“考えるスイッチ”を押す。
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▷「選ばせる」経験を意図的に
– ウォーミングアップを任せてみる
– 練習メニューを一部自分たちで決めさせてみる
– 試合のふり返り項目を選手が作ってみる
選択には責任が伴う。それが「自分ごと」につながる。
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▷ あえて“何もしない時間”をつくる
– コーチが見てない時間に、選手がどう動くか?
– あとから「なんでそうしたの?」と聞く
– 「信じて任せる」ことで、思考の芽が出てくる
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最後に、問いを一つ。
あなたのチームの選手たちは——
言われたことをやっているだけですか?
それとも、自分の意思で動いていますか?
どちらも大事。
でも、自分で考えて選んで動ける選手が、
試合で、人生で、ほんとうの“強さ”を持つ。
その芽を信じて、育てていきたいですね。
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