番号のある世界⑥

便利になる。
手続きが楽になる。
それは確かに事実。

けれど。

ある日、財布を落としたと気づく。

免許証。
クレジットカード。
そして、マイナンバーカード。

「あ……」

一瞬で血の気が引く。

名前、住所、生年月日。
顔写真付きの身分証明。

健康保険証としても使える。
さまざまな情報とつながっている。

まるで
「自分そのもの」を落としたような感覚。

誰が拾ったのか分からない。

善意の人かもしれない。
でも、そうでない可能性もゼロではない。

なりすまし。
情報悪用。
不正利用。

頭の中に
嫌な想像が浮かびはじめる。

もちろん、

セキュリティ対策がある。
暗証番号もある。
簡単に悪用できない仕組みもある。

分かっている。

分かっているけれど、

「絶対に安心」と言い切れるほど
世の中は単純ではない。

便利さと引き換えに、

私たちは
大切な情報を一枚に集約した。

ということは、

失くしたときのリスクも
一枚に集約されるということ。

だからこそ。

怖がりすぎなくていい。

でも、

無防備でいいわけでもない。

持ち歩き方。
保管の仕方。
暗証番号の管理。
紛失時の対応。

これはもう

意識の問題ではなく
現代の生活スキル。

落としてから後悔するか。

落とす前に備えておくか。

選べるのは
今だけかもしれない。

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