無形資産育成

学習塾の壁には「○○高校 合格者 ○○名」と掲示されていることが多い。これを見るたびに、保護者が求めているのは“見える学力”――つまり有形資産の獲得であると感じる。良い(と思われる)学校や企業に進めば、長期的に安定した生活を送れる可能性が高いからだ。プロスポーツ選手になれたとしても、40歳以降まで食べていける人はわずかであり、スポーツへの投資が後回しになる背景も理解できる。

しかし、スポーツこそ本来“無形資産”を育む場ではないだろうか。協働、自己決定、困難への挑戦、感情のコントロール、役割理解、粘り強さ。これらこそ社会で生きるうえで不可欠な力だが、数字には見えにくい。だからこそ、無形資産の価値が保護者に十分伝わらないまま、教育投資の判断が行われているように思う。

その観点からいま注目されるのが、部活動の地域移行である。いつの間にやら、地域展開という名前にさりげなくと捉えられても文句は言えないほどさりげなく展開に変わっている…詐欺まがいにも思えてならないが…

当初は学校から地域へ活動場所が移ることで、スポーツを「勝敗」や「進学実績」中心で捉える価値観から、子どもの成長の場として捉え直すチャンスになるのではないか。もし地域移行が、「自分はどうしたいか」「どうすればもっとよくなるか」を子どもが主体的に考えるスポーツ教育へとつながるなら、大きな意味を持つ。

と考えていた。

だが現実には、スポーツ指導は依然として「コーチが説明し、選手が動く」型が主流で、内発的な学びにはなりにくい。これは学習塾や学校教育と構造が似ている。結局“与えられた課題を処理する子ども”を育ててしまっているのではないか。

必要なのは、子ども自身の問いから学びが始まる教育への転換である。スポーツも授業も同じだ。「今日はこれを学びます」と与えるのではなく、「どうしたい?」「そのために何が必要?」から始まる学びが、無形資産を育む。部活動の地域展開は、その転換を社会全体で実現する絶好の機会だと感じている。に

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