書写
書写の授業中、子どもたちが静かに取り組めず、ついおしゃべりを始めてしまう——そんな場面に悩む教師は多い。この記事では、若手教師とベテラン教師の対話を通して、書写の授業における「静けさ」の意味と、児童にその大切さをどう伝えるかを掘り下げる。
書写の授業でなぜ静かにする必要があるのか?
書写の時間は、他教科とは異なり、他者との対話ではなく「自分の作品との対話」の時間だ。図工の創作活動にも似ており、「この線でいいのか」「もう一度書こうか」など、内面での問い直しや工夫が深い学びを生む。そのためには、外からの刺激をできるだけ減らす必要がある。静けさは、単なるルールではなく、集中力や内省を支える学習環境そのものだ。
「独り言」と「有意義な対話」の違いをどう伝えるか
児童が口にする独り言は、本人にとっては無意識でも、周囲にとっては雑音となりやすい。そこで重要なのが「独り言」と「有意義な対話」の違いを丁寧に伝えること。「どうしたの?」「なにか手伝える?」「ありがとう」など、思いやりと感謝に基づいた対話は、学びを支える。だが、書写の時間は基本的にはそうした会話すらも最小限にし、「自分との対話」に集中する時間だと位置づけることが大切になる。
子どもと一緒に「ルール」をつくるというアプローチ
一方的に「静かにしなさい」と言っても、子どもたちの納得は得られない。赤坂真二氏の実践に学びながら、子どもと一緒に「書写の時間に大事にしたいこと」を話し合い、その中から「静けさ」や「集中」の価値を見出すよう促す。自分たちで決めたルールには責任と実感が伴う。こうしたプロセスを経ることで、「静けさを守る」ことが教師からの命令ではなく、クラス全体の共通の意思となる。
書写の時間は「作品と向き合う」時間
「静かにしなさい」と注意するだけでは、子どもたちに響かない。大切なのは、「なぜ静かにするのか」を子どもたち自身が理解し、納得できるように導くこと。「今は作品と対話する時間」「周りの音を消して、自分の声を聞く時間」といった考え方を共有することが、書写の授業をより深い学びの場へと変えていく。
まとめ:書写の時間に「学びの静けさ」を育てる
- 書写の時間は「自分の作品との対話」を深める場
- 静けさは集中と内省を支える学習環境
- 「独り言」と「有意義な対話」の違いを明確にする
- ルールは教師が押し付けるのではなく、子どもと共につくる
- 納得と実感のある“静けさ”が、深い学びを支える
教師が意識を変えることで、書写の授業は単なる技術練習ではなく、「自分と向き合う時間」としての価値をもつ。対話的な授業が重視される今だからこそ、「作品との静かな対話」もまた、大切な学びであることを伝えていきたい。
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