『そのゴミ、実は漢方。──みかんの皮から考える「見えない価値」』
◆ この授業について(はじめに)
この実践は、愛知教育大学・鈴木健二先生の「小さな道徳」の授業に感銘を受け、5分程度で心を揺さぶられる授業を追試・アレンジしたものです。
先生の「とうもろこしのひげ茶」の授業に衝撃を受け、「私もあんな風に、日常の中にある“見えない価値”を子どもたちと一緒に見つけたい」と思い、本実践を構想しました。
◆ ねらい
- 普段捨ててしまっているものの中に、本当は大切な価値があることに気づく。
- ものごとの一面だけで「いらない」と判断せず、別の見方・使い道があることを考える。
◆ 授業の流れ(所要時間:約10分)
①【導入:教師の語りと実演】
教師:「この前、みかんを食べてたんだけど、ふと気づいたんだよね。冬になると、こたつで食べる機会も増えるでしょ? ほら、これ。」
※実物の「みかん」を見せながら、皮をむいて中身(果実)を食べるしぐさ。
そして、皮をくしゃっと丸めて、ごみ袋(※黒い袋)にポイ。
教師:「ふつう、これ(皮)ってどうする?」
→ 子どもたち:「捨てる!」
教師:「だよね。でもさ…ほんとにいらないのかな?」
②【核心:問いと種明かし】
ここで、乾燥させた「みかんの皮(陳皮)」を提示。
さらに、パッケージされた陳皮茶や漢方のラベル写真も用意。
教師:「実はこれ、“陳皮”っていう名前がついてて、漢方薬やお茶に使われてるんだよ」
「風邪に効いたり、おなかの調子を整えてくれたりもする。高級なものだと1袋1000円以上することもあるんだよ。」
③【思考→対話】
教師:「さて、ここで考えてみてほしい。
“これ、ゴミでしょ”と思って捨ててたものが、実は“体を守ってくれるもの”だった。
こんなこと、他にもあるんじゃないかな?」
【個人で30秒考える → 隣の人と1分シェア】
④【全体共有】
・「だいこんの葉っぱ、食べられるんだよ」
・「ネギの青いとこも、うちでは炒めて食べてる」
・「ちょっと暗い子、あまり話さないけど、実はめっちゃ字がきれいだった」
⑤【教師の価値語・まとめ】
「“いらない”って思ってたものが、ほんとは一番力をもってるかもしれない。
それって、人でも同じ。あんまり目立たない子、ちょっと苦手なあの子、
もしかしたら、すごい力を持ってるのかもしれないよ。」
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