小さな道徳(もっとよく見て)

もっとよく見て──その笑顔の裏側にある「助けて」の声に気づけますか?

「いじめ防止ポスター」の作品を題材に、朝の会や帰りの会、道徳前のアイスブレイクにも使える「5分でできる小さな道徳」授業案を提案します。見た目の笑顔に隠れた声にならないメッセージに気づくこと。そして岡田武史さんの三つの問いかけを通じて、子ども同士の優しい関係性を育む構成です。

タグ:#小さな道徳 #いじめ防止 #朝の会 #道徳のアイスブレイク

目次

  1. このポスターから始まる授業
  2. 授業の流れ(5分)
  3. 本当に伝えたいメッセージ
  4. 教師としての問いかけ

このポスターから始まる授業

黄色い背景に、にっこり笑う女の子のイラスト。ぱっと見では元気そうに見えるこのポスター。でもよく見てみると、髪の毛や服には小さな文字でびっしりと「助けて」「いじめられている」「気づいてほしい」などの言葉が書かれています。

遠くからはわからない。近づいて、よく見て、ようやく気づける「声」。

そんなポスターを教室で取り上げながら、たった5分で心に残る小さな道徳を展開できます。

授業の流れ(5分)

【1分】導入:ポスターの一部だけを見せる

笑顔と「もっとよく見て」という文字だけを提示し、問いかけます。

「この子、どんな気持ちの子だと思う?」

【2分】展開:ポスター全体を見せる

全体を映し、文字の中にある「助けて」「死にたい」「いじめられている」の言葉に気づかせます。

「こんなに言葉が詰まっていたのに、最初、気づけた?」

【30秒】問いかけ:「このポスター、このクラスに必要だと思う?」

少し静かになる空気。その“間”が、考える時間になります。

【1分】岡田武史さんの三つの問いかけ

サッカー元日本代表監督・岡田武史さんの人間関係づくりの問いを紹介します。

  • どうしたの?
  • どうしたいの?
  • 私にできることはある?

この三つの問いが、日常の中で自然に言える教室なら──

【30秒】しめくくりの語り

「もし“わからないから教えて”とか“助けて”って言われたら、
“はい、どうぞ”って返せたらいいよね。
そして“ありがとう”って言葉が返ってきたら──
きっと、こんなポスターは、もう必要なくなる。」

本当に伝えたいメッセージ

「見えない声」に気づける感性を育てること。それは、特別な能力ではなく、「問いかけようとする姿勢」や「耳を傾けようとするまなざし」のことです。

教師から与える「指導」ではなく、子ども自身が「この教室で何ができるか」を考える時間として位置づけてください。

教師としての問いかけ

この5分授業を終えたあと、教師としての問いは一つです。

「このクラスに、このポスターは必要ですか?」

そしてもし「いらない」と言える日が来たなら、そのときこのクラスは、きっと「安心できる居場所」になっているはずです。

この「小さな道徳」シリーズは、忙しい先生方でも取り組める「一日5分の心の授業」です。次回は、身近な“ちょっとした一言”をテーマにした実践をご紹介します。

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