ある教室の黒板に残された、こんな言葉をご存じでしょうか。
「幸せになりなさい」
君たちが宿題を全部片付ける頃、僕は天国にいるでしょう。
急いで報告に来るな。ゆっくりでええから、いつか顔をあわせて
『幸せになったで』と、きかせてください。待ってるで。
勉強や成績の宿題ではなく、生き方に関わる“最後の宿題”。
「幸せになりなさい」という言葉は、どんな励ましの言葉よりも強く心に響きます。
小さな道徳とは?
愛知教育大学の鈴木健二教授が提唱する「小さな道徳」は、5分から10分程度で取り組める道徳の時間です。
新聞記事やポスター、ちょっとした一言など、身近な素材から問いを立て、短い対話を通して価値観を深めていくものです。
今回の黒板の言葉は、「小さな道徳」にぴったりの素材だと感じます。
幸せとは何かを考える
では、ここから「小さな道徳」としての展開を少しご紹介します。
発問
「この黒板のメッセージで、一番心に残った言葉はどこですか?」
説明
これはある先生が生徒に残した最後の宿題です。
「幸せになりなさい」という願いは、点数や成果を超えた“生きる意味”を問いかけています。
指示
では、自分自身に問いかけてみましょう。
• あなたにとって「幸せ」とは、どんな状態ですか?
• 子どもたちに「幸せになりなさい」と伝えるとしたら、どんな幸せをイメージしますか?
紙に一言メモで書いてみます。
確認
お互いにシェアして、「なるほど、そんな幸せの形もあるのか」と感じたら一言コメントを返しましょう。
教師自身が幸せであること
黒板に残された宿題は、私たちに「幸せとは何か」を問い続けています。
幸せの形は一人ひとり違います。
しかし、私たち教師がまず自分の幸せを実感していることこそが、子どもたちにとって一番の道徳教育になるのではないでしょうか。
「先生も幸せそうだな」
子どもがそう感じられること自体が、教室に流れる最高のメッセージになるのだと思います。
この記事を読んだ方にも、今日一度だけでも、「自分にとっての幸せとは何か」を立ち止まって考えていただけたらうれしいです。
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