私は、学校を「強い者だけが残る場所」ではなく、「人が人として育ち直せる場所」だと考えています。だから、教師という仕事も、能力の上下や序列だけで語られるものではないと思っています。
教師は特別な存在でも、万能な存在でもありません。できないことや迷いを抱えながら、それでも子どもの前に立ち、関わり続けることを引き受けている普通の人です。その姿を「何もできない人」と断じてしまう見方には、私は同意しません。学校は、人を下に置くことで成り立つ場所ではなく、失敗や未熟さを含めて人を育てる場所であってほしいからです。
厳しさは教育に必要です。ただし、恐れさせることと育てることは同じではありません。恐怖による静けさは一時的には秩序に見えても、安心や信頼を育てるものではありません。私は、安心の中でこそ人は挑戦し、学び、強くなると信じています。
この点について考えるうえで、内田樹さんの『先生はえらい』という本は、とても示唆的です。教師を特権的に持ち上げる本ではなく、「なぜ社会に教師という存在が必要なのか」「なぜ弱さや不完全さを含んだままで成り立つのか」を、静かに問い直してくれます。教師を守るための本というより、学校をどういう場所として残したいのかを考えるための一冊だと思っています。
私は、学校を、恐れによって従わせる場所ではなく、幸せになっていい場所として守りたい。そのために、人の尊厳を踏みつける言葉には与せず、別の価値観があることを示し続けたいと思っています。

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