畑喜美夫さんの提唱する「ボトムアップ理論」を、樺沢紫苑さんの言う「幸せの三原則」、つまりセロトニン・オキシトシン・ドーパミンという三つの幸せ物質の視点から捉え直してみると、なぜボトムアップの手立てがこれほどまでに有効なのかがとても腑に落ちてきます。
ボトムアップの現場で起きていること
畑先生の実践では、「大人が教える・指示する」よりも、子どもたち自身に任せ、考えさせ、やらせることが大切にされています。
例えば、何かがうまくいったときに、「いいね!」とみんなで声をかけ合う。スマイルパスのように、人と関わり、自然と笑顔が生まれる場を意図的につくる。
こうした場面では、オキシトシンが短いスパンで分泌されているはずです。
人とつながり、認められ、安心する。
この「土台となる幸せ」がまず整っていく。
その上で、試合に勝った、課題を乗り越えた、目標を達成した――そんな経験が入ってくると、今度はドーパミンが一気に分泌される。
実は、ドーパミンが最も出る瞬間
さらに重要なのは、ドーパミンは「結果が出た瞬間」よりも、計画を立てている過程で多く分泌されるという点です。
「こういう作戦でいこう」「ここを工夫すれば勝てるんじゃないか」そんな話し合いを、
子どもたち自身が共同して行っていく。
この考え、試し、修正するプロセスそのものに、ドーパミンが出続けている。こここそが、ボトムアップ理論の極めて重要なポイントなのだと思います。
トップダウンとの決定的な違い
一方、トップダウンのチームではどうでしょうか。
考えるのは、「勝ちたい」と強く願う監督や指導者。選手たちは、会場に来るまで気持ちは高めてくるものの、「どう戦うか」「どう改善するか」という試行錯誤は、試合直前、あるいは試合中に限定されがちです。
普段の活動の中で、
「今の課題は何か」
「どうすれば達成できるか」
を考え続ける機会が少ない。
ボトムアップが育てる「考え続ける力」
ボトムアップでは違います。
日常的に、
「今の課題は何だろう?」
「うまくいかなかった原因は?」
「次はどう変える?」
を、自分たちで考え、つくり直していく。
できなければ、その都度、OODAループのように素早く修正する。試合ではPDCAを意識しつつ、状況に応じてOODAを並行して回していく。
どちらが伸びるか。答えは、ほぼ自明ではないでしょうか。
「幸せな状態」にある人は、伸びる
樺沢紫苑さんは、幸せとは「一時的な快楽」ではなく、脳内物質が健全に回っている状態だと述べています。
無理やり引っ張られて、ドーパミンだけを大量に出されるよりも、
まず
• セロトニンで心身が安定し
• オキシトシンで人とつながり
その上で、
過程の中で自然にドーパミンが生まれる。
この状態こそが、人を幸せにし、同時に人を伸ばしていく。
ボトムアップ理論と「幸せの三原則」はつながっている
結果を追いかけるよりも、過程でワクワクし、考え、関わり合う。
畑喜美夫さんのボトムアップ理論は、まさにこの「幸せになりながら伸びていく構造」を
実践レベルで体現している理論なのだと思います。
私自身、
このボトムアップ理論と樺沢紫苑さんの「幸せの三原則」を重ね合わせたとき、「だから、うまくいくんだ」と強く納得しました。
この視点は、教育にも、スポーツにも、そして、組織づくり全般にも、大きなヒントを与えてくれるはずです。

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