「今の意見、どうですか?」 ――育ちが生まれる“フリ・受け・フォロー”の構造

1.実は、私たちは毎週「理想の授業」を見ている

M-1グランプリの得点発表。
さんま御殿でのトーク。

よく見ると、あそこには
学びが止まらない仕組みがはっきりあります。

誰も、こう言いません。

「それは正解」
「それは違う」

代わりに行われているのは、
• ニュートラルな受け
• 次につなぐ振り
• 落ちても拾うフォロー

この流れです。

2.M-1の得点発表は「評価」なのに、思考を止めない

M-1では点数が出ます。
本来なら、ここで終わってもいい。

でも、終わらない。

MCはこう振ります。

「この点数、どう受け止めます?」

「今の漫才、どこが評価されたと思いますか?」

点数(結果)は出ているのに、
意味づけは本人と場に委ねる。

これ、教室で言えばこうです。

「今の意見、どうですか?」

3.さんま御殿の“フリ落ち”は、教室でよく起きている

さんま御殿では、
トークが「落ちる」ことがあります。
• すべった
• 話が広がらない
• 空気が止まる

でも、さんまさんは切り捨てません。

「いや、それ分かるで」

「今の話、別の見方したらどうや?」

ここでやっているのは、
• 否定しない
• 笑いに変える
• 次につなぐ

フリが落ちても、場を守る。

4.これ、教室でやらないと何が起きるか

教室で、
• フリっぱなし
• 発言させっぱなし
• すぐ次へ

になると、子どもは学びます。

あ、発言って
当たるか外れるかなんだ

落ちたら、終わりなんだ

これが、
• 発言しない
• 他人任せ
• その場しのぎ

につながっていく。

5.MCの役割=教師の立ち位置

MCは、主役ではありません。

でも、
• 場を整える
• 空気を守る
• つなぐ

この役割を一手に担っています。

教師も同じです。

6.教室版「フリ・受け・フォロー」

① フリ

「どう思った?」

② 受け(ニュートラル)

「へー、なるほどね」

③ フォロー(つなぐ)

「今の意見、どうですか?」

ここで初めて、
学びが“個人”から“場”になる。

7.落ちた意見こそ、育ちのチャンス

M-1でも、
評価が伸びなかったコンビがいます。

でも、その後のコメント次第で、
• 学びになる
• 次につながる
• 応援される

同じように教室でも、

「その考えがあったから、
次の意見が出たね」

と拾えば、
• 間違いは失敗にならない
• 安心が積み上がる
• 思いやりが生まれる

8.ここで育っているのは「安心・安全・安定」

この流れがある教室では、
• すべってもいい
• 途中でもいい
• 完成してなくていい

という共通認識が育ちます。

だから、
• 聞ける
• 待てる
• 支えられる

心が育つ。

9.結びに

M-1も、さんま御殿も、
ただの娯楽ではありません。

あれは、

人が安心して話し、
失敗し、
それでも次に進める場

の設計図です。

教師が言う

「今の意見、どうですか?」

は、
教室のMCとしての宣言。

学力だけでなく、
学び方と生き方を育てる言葉なのです。

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