支援が必要な子が増える教室で、担任の私が感じる「限界」
「インクルーシブ教育」という言葉がよく聞かれるようになりました。
障がいのある子も、みんなと同じ教室で学ぼうという取り組み。
素晴らしい理念だと思います。
でも――。
現場は、限界ギリギリです。
私は通常学級の担任をしています。
今、クラスには30人以上の子どもがいて、その中に複数の支援が必要な児童も在籍しています。
正直に言えば、
「この子は支援級の方が安心して学べるのでは?」
そう思ってしまうこともあります。
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■ 一番の問題は「見きれない」こと
毎日、授業・休み時間・行事・保護者対応に追われる中で、
特別な支援が必要な子どもたち一人ひとりに丁寧に関わることは、物理的に無理なことがあります。
他の子どもたちへの対応も手薄になり、
「なんであの子ばっかり見てるの?」
という不満が子どもたちや保護者から出てくることも。
みんなを大切にしたいのに、誰かを我慢させてしまう。
そんな毎日に、胸が締め付けられます。
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■ 周囲の理解が育つこともある。でも…
もちろん、クラスの中で自然と手を差し伸べる子が現れたり、
支援が必要な子どもに優しく寄り添う場面もあります。
そんなとき、この仕事をしていてよかったと心から思います。
でも、現実にはその“逆”もあります。
「なぜこの子と一緒なの?」という声、
クラスの秩序が崩れ始める不安感。
担任として、学級が崩壊しかねない恐怖を感じることもあります。
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■ 保護者の希望が最優先されるけれど…
最近は、「通常級を希望するなら、基本的にそれを尊重する」方針の自治体が増えています。
本人や保護者が「みんなと一緒に学びたい」と願う気持ちは、もちろん尊重されるべきです。
でも、時には「それが本当に子どものためなのか?」と疑問を感じることもあります。
現場の判断よりも、「意向」が優先される今の制度には、正直、もどかしさがあります。
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■ インクルーシブ教育が「理念倒れ」にならないために
私はインクルーシブ教育そのものを否定したいわけではありません。
むしろ、「誰も排除しない教室」を目指したい気持ちは強く持っています。
でも、そのためには――
• 通常級に常時支援員を配置できる体制
• 柔軟な指導形態(TT・教科別通級など)の導入
• 学校全体で「一人の子を、みんなで支える」文化
• 保護者との対話と選択肢の共有
こうした仕組みが、本当に必要です。
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■ 最後に
「通常級で受け入れる」ことが目的ではなく、
「子どもが安心して学べること」が目的であるはず。
現場が疲弊しては、本末転倒です。
担任が一人で抱え込むのではなく、
チームで子どもを育てることが当たり前になる。
そんな教育を、一歩ずつでも現場からつくっていけたらと思います。
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