自分で考え、自分で決断し、自分で行動する ― 教師と子どもが共に育むセルフエスティーム

教室にいる子どもたちを見ていると、「自分で決められない」姿によく出会います。
給食のメニュー一つを選ぶのに迷ってしまう。係や委員会の役割に立候補したいけれど「失敗したらどうしよう」と躊躇する。こうした場面は珍しくありません。

けれども、考えてみればそれは大人の私たちも同じです。職員会議で意見を求められても「自分の意見なんて…」と引いてしまうことがある。行事の運営で「決めてくれる人がいるなら、従っておけばいい」と思ってしまうことがある。

子どもたちは、そんな私たちの姿を敏感に見ています。だからこそ、教師自身が 自分で考え、決断し、行動する姿 を示すことが、子どもたちへの最高の教育になるのです。

「失敗してもいい」空気が安心を生む

子どもが決断できない大きな理由の一つは「失敗への恐れ」です。間違えたら笑われる、怒られる、評価が下がる…。その不安を取り除いてあげることが、教師の役割です。

授業中に「間違えてもいいよ」と言うだけでなく、実際に子どもが間違えたときにどう反応するかが大切です。大人が「いいね、その考え方も大事だよ」と受け止めれば、子どもは安心して挑戦できます。そして「挑戦してよかった」という感覚が、自尊感情の芽を育てるのです。

同時に、教師自身も「失敗することがあるけれど、その中で学び続けている」という姿を見せる必要があります。完璧を装うより、挑戦し続ける姿こそが子どもたちに勇気を与えます。

自己決定感は体験からしか育たない

「自分で決めなさい」と言葉で伝えるだけでは、自己決定感は育ちません。大切なのは、実際に体験させることです。

係活動、掃除の仕方、学級会での議題、行事の準備…。子どもたちが自分で考え、選び、行動できる場を意図的に設けること。その積み重ねが「自分でやれた!」という感覚につながります。

体験を通して得た成功の実感こそが、子どもの心の中に自尊感情を積み上げていくのです。

教師自身もセルフエスティームを育てる

忘れてはならないのは、教師もまた自己決定感を育む存在であるということです。子どもに「自分の人生を生きよう」と伝える前に、私たち自身がどう生きるかを考え、決め、行動する姿を示す必要があります。

たとえば職員会議で自分の意見を述べること。行事運営で主体的に役割を担うこと。そうした一つひとつの決断が、教師自身のセルフエスティームを高めます。そしてその姿が、子どもたちの目には「自分もそうしていいんだ」というメッセージとして映ります。

子どもと共に「自分の人生を生きる」

「自分で考え、決断し、行動する」ことは、単に自主性を育てる教育技法ではありません。それは、人が自分の人生を生きるための基盤です。

教師が自分の人生を自分の意思で歩む姿を示し、子どもが小さな場面で「自分で決めてよかった」と感じられる経験を積み重ねていく。その往復の中で、教室は子どもと教師が共に成長していく場となります。

子どもたちに伝えたいのは「君の人生は君のものだ」ということ。そして、教師自身がその言葉を体現することが、最も力強いメッセージになるのです。

⭐︎教室に「失敗してもいい」「自分で決めていい」という空気をつくりましょう。
それが、子どもたちの未来を切り拓く力を育み、同時に私たち教師自身の人生をも豊かにしていくのです。

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