学校や職員室を明るくする人がいます。
その人がそこにいるだけで、自然と空気が和み、周りが笑顔になる――そんな経験はありませんか?
今日は、福山憲市先生がよく話される「花心(はなごころ)」という言葉を通して、人間性を育てるために私たち教師ができることを考えてみたいと思います。
きんさん・ぎんさん ― 花心を持った人の象徴
まずはこの写真をご覧ください。
(ここで100歳を超えて元気に笑うきんさん・ぎんさんの写真をイメージ)
きっと誰もが一度は見たことがあるでしょう。
きんさん・ぎんさんは、明治25年生まれの双子姉妹。100歳を超えても仲良く元気に暮らす姿がテレビで紹介され、日本中に笑顔を届けました。
二人は特別なことをしているわけではありません。ただ一緒に笑い合い、冗談を言い合うだけ。
それなのに――二人がそこにいるだけで、その場がぱっと明るくなるのです。
まさに「花が咲くように人々を明るくする存在」。これが福山先生の言う花心です。
クイズ:「この字、何と読みますか?」
ここで、少しクイズです。
「バ力」
この字、なんと読みますか?
「ばか(馬鹿)」
多くの方が「ばか(馬鹿)」と読むと思います。
しかし――違うのです!
実はこの字を、私は「心力(しんりょく)」と読みます。
心の力と書いて「しんりょく」。そして、この心力が高まると、教室や学校全体を変える「ば(場)力(ばぢから)」に変わっていくのです。
心力を育てる三つの心
では、この心力はどのようにして育つのでしょうか。
福山先生は、三つの「心」を大切にすることを教えてくださいます。
1.根心(ねごころ) ― 見えない土台を支える
相田みつをさんの詩に、こんな言葉があります。
根は見えないんだなあ
大事なものは 目に見えないんだなあ
花を咲かせるためには、まず目に見えない根っこがしっかり張っていなければなりません。
人間で言えば、それは誠実さ、謙虚さ、自分を律する心――つまり、根心です。
根心がしっかりしていれば、どんな困難にも揺らがず、自分を支えてくれます。
2.草心(くさごころ) ― 踏まれても立ち上がる
次に大切なのは、草心です。
雑草は踏まれても踏まれても、また立ち上がり、伸びていきます。
教師としての私たちも同じです。授業がうまくいかないとき、子どもとの関係がこじれたとき…。
そんなときに「もういいや」と諦めるのではなく、何度でも挑戦し続ける心が草心です。
挑戦を繰り返すうちに、子どもたちにも「失敗しても立ち上がる姿」を見せることができるでしょう。
3.花心(はなごころ) ― 周りを明るくする存在
そして最後が、花心。
花は何も語らず、ただ咲くだけで周囲を明るくしてくれます。
きんさん・ぎんさんのように、「そこにいるだけで場が和む」。
そんな人間性が花心なのです。
この花心は、作ろうとして作れるものではありません。
根心と草心をしっかりと育てていく中で、自然と花が咲くように表れてくるものです。
三つが合わさると「心力」に
• 根心があるから、行動に深みと誠実さが生まれる。
• 草心があるから、失敗しても挑戦を続けられる。
• 花心があるから、周囲を明るく照らすことができる。
この三つが合わさったとき、初めて心力が育ちます。
そして、心力が満ちると、その人の存在自体が周囲に影響を与え、教室や学校全体を変える場力となるのです。
教師自身が心力を育てる
子どもたちの人間性を育てる――それは言葉で教えるだけではできません。
まず、教師自身が根心を持ち、草心で挑戦を続け、花心を咲かせることが大切です。
教師が心力を持てば、自然と子どもたちもそれを見て学びます。
きんさん・ぎんさんのように、「そこにいるだけで場が明るくなる教師」を目指しましょう。
まとめ
• 人間性を育てるとは、まず心力を育てること。
• 心力は、根心・草心・花心の三つがそろって初めて生まれる。
• 教師自身が心力を育てることで、教室全体に場力が広がる。
花が咲くと、周囲が明るくなるように――。
私たち自身が咲き、子どもたちと一緒に、明るい場をつくっていきたいものです。
コメント