「自分には欠点が多い」「あれもできない」「これもダメだ」。
大人であっても、そんな思いにとらわれることはありませんか?
学校現場でも、子どもたちは日々「できた・できない」で比べられます。
その結果、「自分はダメだ」と自己否定に陥ってしまう子が少なくありません。
しかし本当にそうでしょうか。
欠点や短所は「直すべきマイナス」だけではなく、実はその人を形づくる大切な個性でもあるのです。
短所は「特徴」にすぎない
ある子は忘れ物が多い。
でもそれは「小さなことにとらわれず、その場を楽しめる力が強い」という特徴の裏返しかもしれません。
ある先生は「計画性がない」と悩む。
けれどもそれは「柔軟に対応できる」「新しい挑戦をためらわない」という資質につながっています。
短所と長所は、コインの裏表のように隣り合わせ。
「できないこと」ではなく「そういう特徴」と捉えることで、自己否定から自己受容へとシフトできるのです。
大人が自分を許す姿を子どもに見せる
子どもたちは、大人の背中をよく見ています。
もし教師や保護者が「私はダメだ」と口にしてばかりいたら、子どもたちも自然と同じ考え方を身につけてしまいます。
反対に、大人が「失敗しても大丈夫」「これも自分らしさ」と前向きに語る姿を見せれば、子どもたちも安心して「そのままの自分」を認められるようになります。
セルフエスティーム(自尊感情)は、言葉だけで教えられるものではありません。
大人自身が「自分を許す姿」を行動で示すことが、子どもにとって最大の教材になるのです。
「短所を直す」から「短所を生かす」へ
学校ではどうしても「改善」「指導」が中心になります。
けれども、欠点をなくすよりも大切なのは、その欠点をどう生かすか、どう特徴として受けとめるか。
忘れ物が多い子には、「君は目の前のことに夢中になれるんだね」と伝える。
不器用な子には、「丁寧さを大事にしているんだね」と気づかせる。
こうした関わり方の積み重ねが、子どもたちの心を軽くし、やがて自分を受け入れる力につながっていきます。
ここで少し立ち止まって考えてみませんか?
• あなたが「短所」だと思っていることは、裏を返せばどんな長所でしょう?
• 子どもや周りの人の欠点を見つけたとき、責める言葉ではなく「特徴」として伝えられているでしょうか?
おわりに
「欠点も短所も、自分の大切な個性」。
これは大人にとっても、子どもにとっても忘れてはならない言葉です。
まずは私たち大人が、自分を受け入れ、自分を許す。
その姿を子どもに見せることが、セルフエスティームを育む最大の教育になります。
欠点や短所を責めるのではなく、そこに潜む長所や特徴を見つける視点。
それこそが、子どもたちが自分を好きになり、自信を持って生きていく力につながっていくのです。
コメント