基本的人権はもとからあったものではない

社会科の本当の使命とは何か

――日本国憲法と「教える責任」について――

日本社会のあり方に、大きな転換点が訪れているように感じます。

最近の選挙や世論の動きを見ていると、民主主義や人権の価値が正しく理解されず、短絡的な主張や耳障りのよい言葉に影響されて判断してしまう姿が見受けられます。

その背景には、私たち教育現場が、子どもたちに「社会をどう見るか」「どう考えるか」を十分に育てきれていない現実があるのかもしれません。

中学校の公民では、日本国憲法の三大原則――「国民主権」「基本的人権の尊重」「平和主義」――を学びます。けれど、それは単なる語句の暗記にとどまってはいなかったでしょうか。

「主権とは誰のものか」「人権はなぜ守られなければならないのか」――

これらを自分の問題として捉え、社会の動きと結びつけて考える力を育ててこそ、本当の意味での公民教育です。

今、社会には多様な情報があふれ、若者もその波の中にいます。だからこそ、教室の中で「正しさ」を押しつけるのではなく、自ら考え、選び取る力を育てていくことが求められています。

選挙や政治参加の場面で、深い理解と判断のもとに意思表示ができる市民を育てること。それこそが、社会科教育の使命ではないでしょうか。

社会科は、過去と現在と未来をつなぐ教科です。

そして、知識だけではなく、人としてどう社会と関わっていくかを問い続ける教科でもあります。

「私たちは、何のために社会科を教えているのか」

この問いを、改めて胸に刻むときが来ています。未来を担う子どもたちのために、そしてこの国の民主主義を次代へとつないでいくために、教育の現場でできることを一つずつ見直していきましょう。

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