「三瞬」がもたらす、静けさと学びの力
タグ: 学級経営 / ホームルーム / 教育技術 / 教師の工夫
目次
「三瞬」って何?
最近、「三瞬」という言葉を耳にするようになった。読んで字のごとく、三つの「一瞬」を大事にするという取り組みだ。忙しない学校生活の中で、ほんの数秒の静けさが、子どもたちにも教師にも深い意味を持つ。今回は、その三つの場面と、そこに込められた意味について、若手教師と主任の対話形式で掘り下げてみた。
Scene①:ST開始前の静けさ
若手:朝のST(ショートホームルーム)の前、なんとなくざわざわした空気が残ることってありますよね。
主任:あるある。だからこそ、STが始まる直前に「ほんの数秒の静けさ」を入れるって大事なんだよ。
若手:なるほど、それが「三瞬」の一つなんですね。
主任:そう。チャイムが鳴って、すぐに連絡事項を始めるんじゃなくて、まず一呼吸。子どもたちが気持ちを整える余白をつくることが大事。
若手:確かに、静かに始まった日は、教室の空気も落ち着いてる気がします。
Scene②:教師の話の前に
若手:二つ目は、教師が話す前の数秒でしたよね?
主任:そうそう。これが意外と効果的。いきなり話し出すと、子どもの気持ちがまだ切り替わってないことが多い。
若手:あー、話してるのにザワザワしてるときって、それですね。
主任:そう。だから「話すよ」と声をかけて、あえて数秒沈黙してみる。すると、自然と視線が集まってくる。
若手:沈黙ってちょっと怖かったですが、ちゃんと意味があるんですね。
Scene③:給食の前の「いただきます」
若手:三つ目は給食の「いただきます」の前でしたね。
主任:うん。ここも重要な瞬間だよ。ただ「はい、いただきます!」で済ませるんじゃなくて、少し静けさをつくる。
若手:それだけで何か変わるんですか?
主任:全然違う。「今から食べるんだ」っていう気持ちの準備ができるし、「ありがとう」の気持ちも自然と出てくる。
若手:なるほど…。マナーや感謝の気持ちって、言葉より空気の中で学ばせるものなんですね。
主任:そうそう。形式じゃなく「心」を伴わせる。そのための静けさなんだよ。
小さな工夫が生む、大きな変化
「三瞬」はどれも、特別な道具や時間を必要としない。けれど、その数秒の静けさが、学級全体の雰囲気や子どもたちの集中力、そして思いやりにまで影響してくる。
逆に言えば、日常のルーチンに追われてこうした「静けさ」を見失ってしまうと、教室の空気もどこかバタバタして落ち着かなくなってしまう。
静かに始め、静かに話し、静かに感謝する。その一瞬一瞬が、子どもたちの成長にしっかりとつながっていくのだと思う。
…さて、明日のST前、ちょっとだけ「静けさ」を意識してみようか。
コメント