教室で何時間、授業が行われているか考えたことがあるだろうか?1年間で、1015時間。もう一度言おう、1015時間だ。この膨大な時間、当たり前のように生徒たちは前を向き、教師が前に立って話すのを、ただ聞き続ける。疑いもせずに、日々同じように繰り返している。この環境で、どうして子どもたちが受け身にならないと言えるだろうか?
「最近の若者は言われたことしかできない」「指示がなければ動けない」。そんな言葉を嘆く大人たちは多いが、実際に自分たちが育ってきた環境を振り返ったことがあるだろうか?受け身になるのは、ある意味で当然だ。だって、1年間で1015時間も「聴くだけ」「指示に従う」授業を受けているのだから。もちろん、すべての授業がそうだとは言わない。だが、そうした受け身の時間が圧倒的に多いことは否めない。
一方で、映画はたった120分ほどで、観る人の人生に深い影響を与えることがある。それなら、1015時間も前を向いてただ教師の話を聴いている授業がどれほどの影響を与えるか、考えない方がおかしい。受動的になる力は相当つくだろう。
畑喜美夫さんが指摘するように、教室の座席配置一つ取っても、教育の「当たり前」を変えていく必要がある。彼が講演で語った「アイランド型やコの字型の座席配置をするだけでも変わるのでは」という提案は、単なる空間のデザイン変更にとどまらない。対話し、互いに意見を交換し、協力して学ぶ場を作るという根本的な変革の始まりだ。
100年前から変わらない一斉授業のスタイル、全員が前を向き、教師の話をただ聞くだけの授業。それが今も続いていることに疑問を抱かないでいいのか?ボトムアップの組織では、現場の声を尊重し、一人ひとりが自ら考え行動する環境を作る。これに対して、受け身の姿勢を強制するトップダウン型の授業や指導は、創造性や主体性を抑え込む要因になりかねない。
スポーツの現場でも同じことが言える。コーチが一方的に指示を出し、選手たちはそれを忠実に実行するだけのスタイルでは、選手がピッチ上で自ら考え、状況を判断する力が育つはずがない。森保一監督のチーム作りでは、選手たちが自ら考え行動するボトムアップのアプローチを取り入れることで、チーム全体の力を引き上げている。
未来を変えるには、まず目の前の「当たり前」を変える必要がある。座席の配置一つ、授業の進め方一つ、こうした日常の中の些細なことを見直すことが、ボトムアップの精神を育む第一歩だ。畑さんが言うように、教室は単なる「指示を受ける場」ではなく、主体的に学ぶための「対話の場」に変わるべきだ。
ボトムアップの組織とは、ただの流行りの言葉ではない。受け身の姿勢から脱却し、一人ひとりが自分で考え、意見を交わし、行動する力を育む仕組みそのものだ。これこそ、教育現場やスポーツチーム、さらには日本社会全体を変えていく鍵になる。
前向きに座って聴くだけの1015時間が未来を作るのではない。その時間をどう使い、自分で考え、行動するかが、私たちの未来を決定するのだ。
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