①はじめに:「なぜ前向き一斉なのか」を疑ってみる
教室に入ったとき、当たり前のように前を向いて並べられた机。
そこに違和感を覚えたことがある人は、どれだけいるでしょうか?
100年以上続いてきたこのスタイル。
だけど、いま問い直されているのは、この「当たり前」の初期設定そのものです。
②選択肢の“初期設定”が持つ無言の力
私たちは、「前向きの一斉座席」が“普通”で、
そこから必要に応じて“コの字型”や“グループ型”に変更するという流れに慣れきってきました。
でも、それって、いつだって「初期設定が勝つ」という現実を見落としていませんか?
スマホの設定もそう。
通知がONなら、OFFにしない限り鳴り続けます。
検索エンジンも、最初にGoogleが設定されていたら、わざわざYahooに変えない限りずっとGoogleを使う。
それと同じで、教室の座席配置も最初にどうなっているかが、ずっと続くのです。
③「前向き一斉」から「必要に応じた配置」へ
ならば、いっそこう考えてみてはどうでしょう。
「コの字型」や「グループ型」を初期設定にする。必要があれば前向きにすればいい。
これまでと、逆の発想です。
力のある教師でなくても、日常的に子どもたちの視線が交差する環境が“初期設定”になっていれば、自然と対話が生まれます。
そのほうが、ずっと「主体的・対話的で深い学び」に近づけると思いませんか?
④教室環境がメッセージになる
座席配置は、教師の姿勢を語らずして語ってしまう環境メッセージです。
前向き一斉なら、「聞け」「動くな」「見ろ」と無言で語ります。
でも、コの字型なら、「見合って」「話して」「つながって」という別のメッセージが発される。
つまり、教室の形は、教師のスタンスを象徴してしまうのです。
⑤力のない教師こそ、環境に助けられる
「座席を変えるのは大変」
「子どもが騒ぎそう」
そんな不安も分かります。
でも、逆に言えば、日常的にグループ型・コの字型がベースであれば、
それが当たり前になり、騒ぐ理由もなくなります。
力のある教師だけが作れる特別な空間ではなく、
すべての教師にとっての“標準設定”にしてしまえばいいのです。
⑥まとめ:初期設定を見直すという“見えない革命”
「教室は変わらない」「座席は前向きで当たり前」
——そんな“見えない初期設定”が、私たちの教育の土台に根を張っています。
でも、初期設定を変えるだけで、教育の空気はガラリと変わる。
それは、実はとても穏やかで、しかし確かな“革命”です。
今こそ、私たちは問い直すべきかもしれません。
「なぜ、それが“初期設定”なのか?」と。
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