スポーツ指導に「正当な対価」を――無償ボランティアでは支えられない未来

部活動や地域スポーツの現場では、指導者が無償で汗を流すことが「当たり前」とされてきました。しかし、この構造は果たして健全と言えるでしょうか。

スポーツ指導には専門性が必要であり、責任も大きい。技術・安全管理・メンタルケア――いずれも決して「ついで」でできることではありません。そんな重要な役割に対して、報酬が支払われない、あるいは極端に低いという状況は、その競技の社会的評価をも引き下げてしまいます。

だからこそ、まずは最低限、時間に見合った報酬を設定すべきです。たとえば時給1,000円。これでも決して高いとは言えません。しかし「ただでやってくれる人がいるから」という理由で、無償が続く構造には終止符を打つべきです。

理想を言えば、時給2,000円程度を目指したい。もちろん、すべてを保護者負担にするのではなく、公的補助も含めた受益者負担の適正化が求められます。

さらに、指導の質を高め、育成の意欲を支えるためには、保有するライセンスや実績に応じて報酬を差別化する仕組みも必要です。これは、いい加減な指導や責任回避を防ぎ、信頼できる人材が現場にとどまることを可能にします。

ボランティア精神は美しいものです。しかし、それだけに依存した仕組みでは、持続可能な地域スポーツの未来は築けません。正当な対価をもって人を支えることこそが、その競技の価値を守る道なのです。

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