「主体的・対話的で深い学び」が叫ばれて久しい今、それでもなお多くの教室では机が黒板に向かって一列に並んでいます。
なぜ、私たちは「前向き一斉」という配置からなかなか抜け出せないのでしょうか?
現場で感じている主な理由を整理しながら、「変えたいけれど変えられない」その根本を見つめ直します。
前向き一斉から抜け出せない理由(抜粋)
- 管理しやすい安心感
全員の顔が見える、教室全体の空気が把握しやすいという「教師の安心感」が、固定的な配置を支えています。 - 授業時間の制約
対話的な活動は時間がかかる。単元を計画通り進めなければならないというプレッシャーも大きな要因です。 - 授業設計の難しさ
問いの立て方や活動の展開、評価方法など、対話的な学びには高度な授業設計力が求められます。 - 教室環境の制約
狭い教室・重い机・大人数など、物理的な要因が「自由な配置」を難しくしています。 - 「これが当たり前」という思い込み
自分たちがそうやって学んできたからこそ、無意識に「一斉授業が正しい」と刷り込まれている面もあります。
小さなズレから始めよう
もちろん、一斉授業がすべて悪いわけではありません。状況に応じた配置の工夫こそが、教師の力量です。
とはいえ、「子どもたちの学びがもっと活発になるなら」という視点で、ほんの少し配置をずらしてみる——。
前の子と後ろの子が向き合うだけでも、教室の空気は変わります。
木村泰子さんの言葉を借りれば、「子どもを信じると、教室の景色が変わる」のです。
教室の風景は、教師の価値観で変わる
机の配置は、学びの価値観の現れ。
私たち教師が「何を大切にしているか」が、そのまま教室のレイアウトに映し出されます。
すぐに大きく変えられなくても、まずは“自分の教室を見る目”を変えることから。
対話が生まれ、子ども同士が学び合う「教室の景色」は、きっとそこから動き出します。
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