読んでほしい人
- 子どもが安心して「わからない」と言える教室をつくりたい先生
- 学び合いを仕組みとして育てたい中学年~高学年の担任
- 教室内の人間関係や授業の空気をもっとあたたかくしたい方
- 「授業ができる子」ばかりに目が向いてしまっていることに気づいた教育関係者
実践の概要
この授業では、「口に二画加えてできる漢字をできるだけたくさん見つけよう」という、シンプルな活動を導入とします。子どもたちは考え、友達と共有しながら、自然な対話と学び合いを始めます。
このとき、教師が意識的に変えているのが問いの形です。「分かる人?」ではなく、「モヤモヤしている人?」「わからなくて困っている人?」とたずねることで、授業の主語が変わります。これにより、「できる子」の確認から、「困っている子」の支援へと授業の焦点が移っていきます。
また、教室でのやりとりの言葉をあらかじめ共有します。
- 「わからないときはどうする?」→「わからないから教えて、と言う」
- 「そう言われたらどうする?」→「どうぞ、と言って教える」
- 「教えてもらってわかったらどうする?」→「ありがとう、と言う」
- 「ありがとうと言われたら?」→「どういたしまして、と返す」
このやりとりを通じて、感謝と思いやりに満ちた対話が生まれます。教師が過干渉にならず、子ども同士の関係の中で自然に助け合いが育つようになります。
この実践から得られること
- 子どもが「わからない」と言える心理的安全性が教室に生まれる
- 単なる知識の伝達ではなく、関係性を育む授業になる
- 授業が「できる子」中心から「困っている子」に寄り添う構造に変わる
- 自己肯定感・自己有用感・自己効力感が育ち、学びから離脱する子が減る
ポイントはこの3つ
- 発問の見直し:「分かる人?」ではなく「困っている人?」「モヤモヤしている人?」とたずねる
- やりとりの言語化:教えて/どうぞ/ありがとう/どういたしまして、のシンプルな流れを共有
- 感謝と思いやりを仕組みにする:授業の中に人間関係の土台を組み込む
まとめに
授業の問いかけひとつ、やりとりのルールひとつで、教室の空気は大きく変わります。特別な技術ではなく、意識の向け方の問題です。
私たち教師が、先頭を確認するのではなく、最後のひとりを気にかける視点を持つこと。そんな「誰ひとり取り残さない授業」は、こうした問いややりとりの中から生まれます。
「わからないから教えて」「どうぞ」「ありがとう」「どういたしまして」
このやりとりがあふれる教室には、きっと笑顔が増えていきます。
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